「…おーわり…洗浄スキル『浄化』」
青年達が出て行って直ぐに作業を終わらせた彼女は伸びをするとスキルを使いテーブルを綺麗にした。
「さーてスープも出汁は取れてるだろうし…沸騰させてから味付けだな」
彼女は寸胴鍋の中を確認するとコンロに置いて火を点ける。
「…あ、しまった…コンロが…まあいいか」
寸胴鍋を置いたから使えなくなったコンロを見て残念そうに呟くも、直ぐに切り替え袋からフライパンを取り出す。
「フライパンスキル『瞬間加熱』」
スキルを使ってフライパンを熱すると油をひいて餃子を焼き始めた。
「ふんふん♪…そこだ」
鼻歌混じりにタイミングを図ると直接水道から少量の水を入れて蓋をする。
そして3分ほど蒸すと蓋を開けてフライ返しでパリパリになってる餃子を剥がして皿に移す。
彼女はその作業を生の餃子が無くなるまで繰り返した。
「…おお、美味そうな匂いだ…」
餃子を焼き終わった後に中華スープの仕上げをしてると青年が大きな鍋を持って戻ってくる。
「ああ、ありがと…洗浄スキル『浄化』」
青年から大きな鍋を受け取った彼女はスキルを使って綺麗にし、戸棚に片付けた。
「先食べといて」
彼女は保管庫から台車を出すとその上に寸胴鍋を乗せて青年にそう告げる。
「…美味しそうな匂いが…」
彼女がドアの所まで進むとタイミングよく女の人が入って来た。
「…おっと、皿忘れた…」
外に出てスロープを下ってる最中に彼女が呟く。
「…よし、っと…」
地面にある石を足で寄せて台車のタイヤを動かないようにすると家の中に戻る。
「てれててれれっ♪」
口ずさみながら家から出てきた彼女は大きな皿を抱えるようにして持っていた。
「よーいしょ…」
そして台車を止めた場所の隣に大きな皿を置くと寸胴鍋を傾けてスープを移す。
「っと…」
「「「「ヘッヘッヘッ…」」」」
彼女が寸胴鍋の中身を大きめの皿に移し終わる頃には匂いにつられて魔物達が集まってきている。
「…これでよし…」
大きめの皿をそれぞれ少し離れた場所へ運ぶと彼女は空になった寸胴鍋を台車に乗せて家の中に戻って行った。
「…洗浄スキル『浄化』」
「…ご馳走様」
「ご馳走様でした」
スキルを使って寸胴鍋や台車を綺麗にして片付け終わると同時に、青年と女の人は食事が終わったらしく手を合わせる。
「…さて、食べるか」
食器を片付ける青年達と入れ違いになるように彼女は椅子に座って手を合わせた。
「…まあこんなモンか」
彼女は青年達が作った不恰好な餃子と自分で作った餃子を食べ比べてボソッと呟く。
「…コレは『体力回復持続(微)』なのにコレは『体力強化』か…」
微妙…と付与効果に不満を零しつつも彼女は食べ進める。
「ご馳走様…さて、魚の燻製でも作るか…洗浄スキル『浄化』」
たった今ご飯を食べたばかりなのに彼女はスキルで皿を綺麗にすると、早々と夕飯の準備に取り掛かった。
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