「…あの、私たちも行きませんか?」
「…あ、ああ、そうだな!」
街の入口で考え込んでる青年が目立つのか女の人が周りの目を気にしながらそう聞くと、ハッとしたように歩き出す。
「先ずは目的の物からだな…」
「食材…ですか?」
青年がポケットから紙を取り出すと女の人が不思議そうに首を傾げる。
「ああ、因みに山で瀕死の君に飲ませたのも彼女が作った飲み物だ」
「…作った、って…あの人、薬剤錬金術師なんですか?」
青年の言葉に女の人は驚いたように問う。
「いや…彼女の表示は『山人』となっていたから、ただの一般人か民間人だと思う」
「山…人?」
「おそらくは山に住む人の事だろう、村なら村人、街なら街人、都なら都民だろう?」
女の人の新たな疑問に青年は説明して理解したかどうかを確認した。
「…なるほど」
「彼女のステータスを覗いた限りではおそらく戦闘能力は無い…と、思う…」
納得した女の人に青年は歯切れ悪く続ける。
「だから表示が山人なんだろうな」
青年はそう締めて彼女の話題を打ち切った。
「そうですね、戦闘能力があるならそれなりの職業名が表示されるはずですから」
女の人も特に疑問に思う事なく終わらせる。
「いらっしゃい!」
「すまないが、この紙に書かれた物を書かれた数だけくれないか?」
「へい、かしこまりました!…えーと…」
店に着いて青年が紙を渡すと店員は紙を受け取って確認していく。
「…すいません、この食材だけはウチでは取り扱ってないんですよ…あの店なら置いてあるはずですが…」
ビニール袋に食材を詰め終わった店員が紙の一番下に書かれてる文字を指差して謝り、離れた場所にある店を示す。
「そうか…ありがとう、あと、別の袋にアレとアレ…ソレとコレを5つずつ入れてくれないか?」
「へい、まいど!」
青年はお礼を言って紙に書かれてるのとは別の食材を指定して金を払う。
そして買い取った食材が入ってるビニール袋を袋に入れて店員に聞いた店へと移動する。
「いらっしゃーい」
「コレを6つくれないか?」
「…はい、まいどありー」
紙に書かれた食材を全て買い終わった青年は別の食材を少し買ってから女の人と街を徘徊した。
「…ここらで少し休憩しようか」
「はい」
ある程度街を回って色々と買い込んだ青年は近くの喫茶店に入る。
「…あの、作戦の経過はどうですか?」
店に入って席に座り、飲み物を注文したところで女の人が青年に聞く。
「…今のところは順調だ、これからが大変だと思うが…」
「あの、私にできる事はないでしょうか?」
青年の返答に女の人が立ち上がって手伝いを申し出た。
「…そうだな、出来れば街の人々を戻すのに人手が欲しい…騎士団の残った奴に助力の話を通してくれないか?」
「人手…ですか?分かりました、連絡を取ってみます」
「出来るだけ早く頼む、政府がどれだけ待つか分からないのでな…」
「…お?…お前達もココに居たのか」
青年と女の人の話が終わるとタイミング良く男が店に入って来る。
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