「ああ、岩ぐらいなら簡単に斬れる」
「じゃあコレぐらいにカットしてよ」
彼女は手で20cmぐらいの正方形を作って青年に示した。
「お安い御用だ」
彼女が離れるのを見て青年は剣を鞘から抜いて岩を斬る。
「斬ったは良いが…何に使うんだ?」
「コレ、岩塩だから塩にできるんだよね」
「…調味料まで自分で作るのか?」
「言ったじゃん、この山は珍しく自給自足ができる場所だ、って」
発言に驚く青年に彼女は適当に流して洞窟に向かった。
「…ココでは何を?」
洞窟に入ると青年が辺りを見渡しながら聞く。
「キノコ」
彼女は洞窟の両端に転がってる木からキノコを採りながら答える。
「…ほう…シラタケ、ミルダケ、エルキノコか…」
木に生えてるキノコを見て青年が呟く。
「!?このキノコは…毒キノコじゃないのか!?」
「あ、その胞子吸ったら危ない…ってもう遅いか」
奥の方にある木に生えてるキノコを見て叫んだ青年に彼女が注意するも遅かったらしい。
青年に『状態異常 麻痺』という表示が加わっていた。
「も…すこ…はや…」
ガクッと地面に膝を着いた青年はろれつも上手く回らないようだ。
「どうせ10秒ぐらいで直ぐに治るっしょ」
彼女は青年が吸って麻痺になったハズの胞子を軽く手で払うだけでキノコを採る。
「ぐ…う…」
「あれ?まだ治らないの?」
キノコを採取し終わった後もまだ地面に膝を着いている青年を見て彼女が不思議そうに首を傾げた。
「ほう、しが…!」
「あー、なるほどねぇ…抗体を持ってないから」
彼女は手をポンと叩くと青年の手首を掴み引きずって洞窟を出る。
「これじゃただの足手まといだな」
洞窟の外に青年を座らせると彼女は一人帰路についた。
「一人で行くなんて危険だぞ!」
途中で復活した青年が走って来てなんとか彼女に追いついてくる。
「あんただったらそうかもね」
青年の言葉に彼女は一瞥して返し前を向く。
「…何をしてるんだ?」
「見て分からないの?山菜を取ってるんだよ」
帰りがてらにそこらに生えている植物を採ってカゴに入れている彼女に青年が聞くと呆れたように返された。
「夕飯の魚とキノコは取ったハズじゃ…」
「明日分もあるじゃん、取れる内に採った方が後々楽だろ」
「それもそうだな…よし、手伝おう」
彼女の言葉に納得した青年はそこいらに生えてる山菜をひたすらに採る。
「…あんたさぁ、加減って言葉知ってる?」
彼女はカゴに山盛りになっている山菜を見てイラついたように言う。
「すまない…つい夢中になってしまって…」
「いくらなんでも採りすぎ、少しは自然環境の事も考えろよ」
「…返す言葉もない…本当に申し訳ない」
怒る一歩手前の彼女に青年はただただ頭を下げて謝るだけ。
「ったく…これだけあれば4日分はあると思うけど、そんなに保つかな…?」
カゴを青年に押し付けた彼女は顎に手を当てて考えながら歩いた。
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