彼女はそのまま畑に向かい、日課の水やりや草むしりなどを済ませて洞窟へと移動する。
そこで餌やりをして食べられそうな魚の数を数えて家に戻った。
「おかえり」
「…ああ、帰って来てたの?」
太陽が真上に上がる頃に彼女が家に着くと青年が外で魔物と戯れている。
彼女は青年の挨拶にどうでも良さげに返すと疑問系で聞いたのに返事を聞かずに家の中に入っていく。
「…ええ…」
「あ、し、失礼してます!」
家の中には女の人が居て、彼女が困惑したように呟くと椅子から立ち上がって頭を下げた。
「…何しに来たの?」
「あっ、いえ、その…遊びに…?」
彼女が冷たい目と声で聞くと女の人は返答に困ったように疑問系で言う。
「ふーん、じゃあ外に出れば?」
家の中に居てもやる事無いでしょ、と彼女は興味なさそうに告げた。
「や、あの…魔物が怖くて…」
「じゃあ来るなよ」
その言葉対して女の人が言いにくそうに言うと思わず彼女がツッコむ。
「そんなんで良くもまあこんな魔物が住み着いてる山奥に遊びに来れたね…」
「…すみません」
彼女が呆れたように続けると女の人が謝る。
「あの…もしかして邪魔、ですか?」
彼女の冷たい対応に女の人は窺うように尋ねた。
「邪魔、って言ったらこの山から出て行ってくれるの?」
「…それは、ちょっと…」
彼女が聞き返すと女の人は返答に困る。
「だったら邪魔ですか?とか聞くなよ…」
またしても彼女は呆れたような感じでため息混じりに言う。
「…すみません…」
申し訳なさそうに謝る女の人をスルーして彼女は昼ご飯の準備に取り掛かった。
「ふんふんふん…♪」
「あの、何か手伝いましょうか?」
鼻歌混じりに準備をしている彼女に女の人が話しかける。
「いらない、暇なら外に出てみたら?」
取り付く島もなく彼女は鬱陶しい者を見るような表情で女の人にそう言う。
「…出すぎた真似をしてすみません…」
女の人は謝ると落ち込んだように膝の上に手を置いて俯いた。
「…今日の昼飯はなんだ?」
気まずい空気が流れる中、男が戻って来て彼女にメニューを聞く。
「カツ…ヒードレッダだよ」
「…ヒードレッダ…?…ああ!あの肉を揚げるやつか!」
彼女の返答に男は料理名を呟くと思い出したように声を上げる。
「おっと、そう言えばアイツが呼んでいたぞ」
男はついでに思い出した事を女の人に告げた。
「…?分かりました」
女の人は身に覚えが無いのか不思議そうな顔になって外に出て行く。
「…なあ、なんであの子がここに居るんだ?」
「私に聞かれても」
「…アイツに聞くしかないか…」
男が聞いても彼女が素っ気ない返事しか返さないので、ため息を吐きながら外に出る。
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