「「「「ギイイ!!」」」」
鳥のような魔物が全体で一斉に鳴くと青年が立ち止まる。
そしてゆっくりと袋から彼女から渡された小袋を取り出すと、魔物から目を離さずに中身である焼きキノコを自分の少し前に投げた。
「…頼むから、食べてくれよ…!」
祈るように呟いた青年はまたしても降参のポーズを取ってゆっくりと一歩ずつ後ろに下がる。
「…?」
青年が、一番近づいた距離から倍近い距離を下がると、鳥のような魔物が警戒しながら焼きキノコに近づく。
「…!クエエ!クエエェ!!」
そのまま不思議そうに鳥のような魔物が焼きキノコを食べると嬉しそうに小躍り?した。
「…俺の、話を聞いてくれるか…?」
『…人間が我々に何の用?』
その様子を見て青年が話しかけると鳥のような魔物が聞いてくる。
「…俺は、謝りにきた」
『謝る?何を?』
青年が用件を言うとまたしても聞き返した。
「…その亜種にしてきた事を、だ」
『…我々の同胞を変えた事か…』
「騎士団には後から謝罪させる、が…今は俺が代表して謝罪する、本当に済まなかった!と伝えてくれ」
鳥のような魔物が亜種の方を向くと青年が頭を下げて謝り、ソレを通訳するよう頼む。
「クルル…クエー、クエー」
「…!グアッグアッ!」
『謝った程度で我が今まで受けた痛みを忘れられるか!と怒っている』
喋れる方の魔物が伝えてると亜種は怒ったように鳴き、その意味を通訳する。
「…その怒りはもっともだ、俺は騎士団がしてはならない事をしてしまったと思ってる…申し訳ない」
青年は頭を上げるとまたしても謝って頭を下げた。
『…主は変わっているな、言葉が分かるこの不思議な現象もそうだが…我々に謝ったりと主は今までの人間とは違う気がする』
喋れる方の魔物は今度の言葉は通訳せずに意外そうに声をかける。
「…俺が変わったのは彼女のおかげだろうな…隠してもしょうがないから本音を言うが…俺たちはこの街の人々を元に戻そうと思っている」
『なに…?やはり主も我々と戦う気か…!』
青年が頭を上げてボソッと聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟いた後に話を切り出すと、魔物達が更に警戒したような様子になった。
「話を最後まで聞いてくれ、この街の人々を元に戻した後は半分の土地を魔物の住処として提供する予定だ」
『…なに?』
「このままいけば君達は国にこの街ごと排除されて滅びる未来が待っているだろう…だが、俺たちに協力するのなら人と魔物が争わない共存できる可能性がある」
青年の言葉にほんの少し興味を持ったかのような魔物に対して畳み掛けるように説明する。
『…共存…?本気で言ってる…?』
「…俺がこの場所に、丸腰で、君達に対しても敵意が無い事がその証明になると思う」
疑うような魔物の言葉に青年は息を吸ってからそう告げた。
『…どうする…?』
グエグエグワッグワッ…と魔物は仲間内に青年の説明を通訳して話し合う。
『…協力とは、何をする?』
少しの間話し合って喋れる魔物が青年に聞く。
「…俺たちが街の人々を元に戻す作業を邪魔しなければそれで良い…と思う」
『………俺たち、とは他にもいるのか?』
またしても魔物達で話し合って質問する。
「ああ、俺の他に数人居る」
『……分かった、協力する…けど、騙した時は許さないぞ』
「…感謝する」
魔物の承諾と釘を刺す言葉に青年はまたしても頭を下げてお礼の言葉を言った。
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