「剣スキル『ハードスラッシュ』」

「きゃっ！」

「…終わりだな」

青年のスキルでの攻撃を女の人はもう一度盾で防御するも弾き飛ばされ178という白い数字のダメージが出る。

そして女の人のHPが黄色になり青年は剣を鞘に納めた。

「あ、ありがとうございました」

「スキルの連携は中々良かったが…もう少し通常攻撃も挟んだ方がいいな」

青年は尻餅を着いたままお礼を言う女の人に手を差し伸べながらアドバイスする。

「…やはりレベルの差が大きいと戦術でどうこうできる問題では無いか…」

「逃げ回りながら攻撃とか出来ないの？」

男が模擬戦闘の感想を言うと彼女が聞く。

「…そうなると相手はカウンターを狙ってくるから難しいだろうな」

「そんなもんかね…じゃあ盾で剣を受け流すってのは？」

受け止める時に斜めにしたら滑るんじゃない？と彼女は更に聞いた。

「…ソレは良いかもしれないな、だが難しそうではあるが…」

「まあどっちにしろ技術が無いと無理って事か」

男は少し考えて彼女の案に賛成したように呟くも適当に納得されて流される。

「やはりレベルの差、という物はそう簡単に埋まらないものなのかもな…」

「…あ、そういえば…ドーピング料理ってのがあるよ？」

男が頷きながら零すと彼女が今思い出した事を疑問系で告げた。

「…ドーピ…？なんだそれは？」

「私が勝手に名付けたんだけど…ある程度の技術があるんなら、ステータスを強化する料理を食べればレベルの差ぐらいは埋まるんじゃない？」

不思議そうな顔で聞いてくる男に彼女は適当に説明する。

「…ステータス強化、か！確かにそれなら…！」

「ん～…とりあえずやってみる？ちょっと作ってくるから待ってて」

驚いたようにブツブツと呟き出した男に彼女は疑問系で聞いて家の中に戻って行った。

一時間後。

「お待たせ」

彼女は少量の料理が盛られた小皿を6つ乗ってるお盆を持って外に出る。

「…？ソレは…？」

「試食用のドーピング料理」

男がお盆に乗ってる小皿を見て不思議そうに聞くと彼女は簡潔に答えた。

「おーい、ちょいと来てー」

「「？？」」

彼女が青年達に呼びかけて手招きすると男と同じく不思議そうな表情になって近づいて来る。

「コレ、食べてみて？」

「コレは…？」

彼女が女の人に聞くとまたもや不思議そうな表情で聞き返された。

「ドーピング料理」

「…どー…？」

「ステータス強化の効果があるそうだ」

女の人が彼女の返答を聞き取れずに首を傾げてると男が説明する。

「コレ食べたらレベルの差も埋まるかもよ？」

「…面白い、食べたらもう一度模擬戦闘をしようか」

彼女の疑問系の言葉に青年がニヤリと笑いながら女の人に言う。

「わ、分かりました…」

女の人はお盆の上にあるスプーンを手に取って小皿に盛られた少量の料理を食べ始めた。

「…ご馳走様です、ありがとうございます」

6つの料理全て食べ切ると女の人は彼女にお礼を言って離れる。

「さて、なんたら料理とやらがどれほどのものなのか…」

「今回はさっきとは違い、俺は最初から全力で行く…遠慮などという生易しい考えは捨てておけ」

男が呟くと青年がさっきと違って真剣な顔で剣を抜き女の人に告げた。

そして二度目の模擬戦闘が始まる…