「…どこからこれを?」
そこらで簡単に手に入る物ではないハズだが…と青年は疑問を口にする。
「どこかの遺跡で見つけた物らしい」
「…らしい?」
男が言った言葉に青年は怪訝そうにおうむ返しのように聞き返す。
「魔導協会に所属したら、特典として貰った」
「…特典で…?」
「新聞とかの勧誘をする時に洗剤とかティッシュとか付いてきます、と言うがあるだろう?それと似たようなものだ」
「ああ、なるほど」
男の返答を聞いて納得出来なかった青年もたとえを聞いて納得した。
「…はあ…はあ…あれ…?何か、あったん、ですか…?」
青年と男の話がちょうどひと段落したところで女の人が息を切らしながら戻ってくると不思議そうに聞く。
「いや、少し話をしていただけだ」
「そうでしたか、すみません…先にお風呂に入ってきます」
青年の返答を聞くと女の人は断りを入れてから先に家の中へ入る。
「…コレはあの子に渡した方が良いかもしれないな…」
青年は女の人の背を見送るとボソッと呟いた。
「…止めておいた方がいい、あの子はまだまだ修行中なのだろう?下手に力を強化すると技術を身に付けるのが遅くなるぞ」
その呟きを聞いた男が青年の考えに反対するように止める。
「…それもそうだ…今は切羽詰まった状況でも無い、目先の事よりも後先の事を優先しよう」
ありがとう、と青年は意見してくれた男にお礼を言う。
「ふっ…お前の悲願とやらはまだ何か分からんが、とりあえずお前への協力は惜しまないつもりだ」
お前が俺に協力してくれたようにな…と男はニヤリと笑いながら返して家の中に入って行く。
翌朝。
「…それでは行ってくる」
朝食後の片付けを済まして椅子に座ってる彼女に男が出かけの挨拶を告げた。
「ん?ああ」
彼女はどうでもよさそうに言うと手をヒラヒラと振る。
「…お、もう行くのか…頑張れよ」
「頑張って下さい!」
微妙な表情で外に出た男にストレッチ中の青年と女の人が気付いて声をかけた。
「ああ、彼女の事は任せたぞ…何かあれば連絡しろ、直ぐに駆けつける」
「分かっている」
男が有事の際に自分を頼るように言うと青年は笑いながら頷く。
「…召喚スキル『シュリオ』、『ライド』」
男は青年の返事を聞くと手を上げてスキルを使う。
「…あれ?あの人は…?」
男がスキルを使うのを見てなかった女の人は少ししてキョロキョロと辺りを見渡しながら首を傾げる。
「ああ、もう出かけた」
「…速いですね…魔物に乗って行った…?」
青年の返答に女の人は意外そうに呟いた。
「…それより、ランニングを始めよう」
青年はあえてなのか、女の人に説明もせずに話題を変える。
「そうですね」
女の人も特に気にせずにストレッチを終えた。
「では行くか」
「はい!」
青年が声をかけると女の人は元気よく返事して走り出す。
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