翌日。
「大変です!」
朝食後から騎士団の定例集会に参加するために山を離れていた女の人が、昼前に慌てて戻って来た。
「…どうしたんだ?」
更に新しいスキルを覚えた青年が剣を鞘に納めて聞く。
「ジルトーが所属不明の集団に襲われているそうです!」
「…なに?ジルトーだと!?」
女の人の報告に青年は驚いたように聞き返す。
「…『聖なる協会』の支部がある街を襲撃とは…」
青年は考えるようにして不思議そうに呟く。
「各騎士団に援軍要請があったそうです!」
「…援軍…?それで、要請があったのは何時だ?」
女の人の話を聞いて青年は眉を寄せて尋ねる。
「…山を登ってる最中に騎士団から連絡があったので…およそ10分ほど前です」
「…そうか、よし…俺も協力しよう」
女の人が思い出すように告げると青年は助力を申し出て指笛を吹いた。
「「「「ヘッヘッヘッ…」」」」
「魔物で行った方が速いからな、ジルトーまで運んでもらおう」
近づいて来た魔物達の内、2体を指差して青年が告げる。
「…と、一応報告しておくか」
青年は魔物の頭を撫でて背中に跨がろうとしたところで何かを思い出し家へ向かう。
「すまない、急用が出来てしまって昼食は頂けそうにもない…もし残しておいてくれるのならば、夕食の代わりで食べさせてくれとありがたい」
青年がドアを開けて昼食を作ってる彼女に言うも、返事は無い。
「…ん~…夜ご飯は楽になったかな?」
青年と女の人が魔物に乗ってジルドーへと向かった後。
大きな鍋を持った彼女が疑問系で呟きながら外に出た。
「自分の分と魔物の分だけか…」
そして大きな皿に魚介パスタを盛りながら夕食の事を考える。
「……じゃあ簡単な物にしようっと…」
彼女は料理を分け終わるとボソッと呟きながら家の中に戻った。
家の中が久しぶりに静かになったというのに彼女の様子は変わらない。
いつもと同じように黙ったまま食べ、空になった食器をスキルで綺麗にし、片付ける。
「…さて、やるか」
彼女はそう呟くと外に出て魔物達の皿を2つ残し、あとはスキルで綺麗にして戸棚へと片付けた。
「ふんふんふふん♪」
片付けが終わると彼女は鼻歌混じりに脱穀機のような物とタライを取り出す。
「…よいしょ、っと…」
脱穀機の下にタライを2つセットしドアを開けっぱなしにすると、外に置かれている穀物が山盛りになっている一輪車を家の中に入れる。
「…ぐーるぐる、ぐーるぐる…」
彼女はスコップのような物で穀物を掬うと脱穀機のようなモノに入れてハンドルを回し始めた。
「ふん、ふんふん…ふふーん♪」
穀物をスコップで掬っては機械に入れ、ハンドルを回す…という作業をしながら彼女は鼻歌を歌う。
「…今日で半分いけるといいなー…最低でも1/3は終わらせないと…」
一輪車に盛られてる穀物の量と、袋から取り出したケータイの時間を見た彼女が独り言を呟く。
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