「…良かったな…」
「ああ!まさかこんなに作ってくれるとは…!」
青年の納得いかなそうな皮肉のような言い方にも男は気づかず嬉しそうに食べ始めた。
「…なんでコイツだけ…」
「あんたにはゾンビの時に作ってあげただろ」
ボソッと不満を零した青年に彼女がそう返しながら椅子に座る。
「いや、そうだが…でもこんな…」
「じゃああんたも魔導師?とやらを目指せば?」
「…俺が悪かった…」
青年は納得いかないように返してくるも彼女が聞き返すとあっさりと引き下がった。
昼食後。
「…あれ?お前の表示…なにかおかしくないか?」
青年が男の表示を見て不思議そうに聞く。
「ん?…オープン、リバース…いや、どこもおかしくないぞ?」
男は表示を大きくして逆回転させ自分で確認して聞き返す。
「…いやだってそのMP表示…」
青年は男の『6560』という元の10倍以上に増えてるMPを指差して言いかける。
「…ああ、コレか…彼女の料理の効果と俺のステータス強化魔法が重複したんだろう」
なんてことはない、といった様子で男が軽く説明した。
「重複って…」
「まあなんにせよ彼女の『MP自動回復』の効果がステータス強化魔法のデメリットを超えたと言う事だな」
信じられないように呟いた青年に男は嬉しそうに話して外に出る。
「6000って凄いですね…」
「そうだな、文字通り桁が違う」
女の人が驚いたように言うと青年が同意した。
「…とにかく、俺たちは俺たちの出来る事からやれば良い」
「そうですね」
青年は話題を逸らすように言って外に出ると女の人も賛同して後ろからついていく。
翌日。
「…ウォーン…!」
昼ご飯が終わり、彼女は畑へ、青年と女の人は鍛錬を、男は戦闘型飛空艇の最終調整等をしてると魔物の遠吠えが。
「…この鳴き声は…」
「どうやら敵意のある者が入って来てるようだ」
男が立ち上がって呟くと青年が走ってくる。
「…遠吠えは一回…おそらく複数の場所からの登山では無いな」
男と一緒に走って家の方に向かう青年が状況を予想した。
「ヘッヘッヘッ…」
「頼む」
「頼んだ」
男と青年は家の近くで待っていた魔物に乗って別の魔物が警戒を指定した場所へと向かう。
「「「「グルルル…!!」」」」
「な、なんだ…この魔物の数は…!」
…遠吠えがあった場所では、小柄な少女のような見た目をした女の子が十数匹の魔物に囲まれ狼狽えている。
魔物達は『相手が手を出さない限りは唸るか吠えるかで威嚇するだけ』という青年の教えを守っていた。
「…女の子…だと?」
「…ココに何の用だ?」
魔物達が集まっている場所に着いた青年は魔物から降りながら囲まれてる人間を見て呟き、男は用件を尋ねる。
「麓の猛獣注意の看板が見えなかったのか?」
「に、人間…?なぜ、魔物の背に…!」
青年の問いに女の子は驚いたように呟く。
「…あとは俺たちで何とかする、解散!」
この状態では上手く話が出来ないと思ったのか青年は手を叩いて魔物達を家に戻るよう指示した。
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