その後。
騎士団の活躍もあって驚くほどスムーズに進んだ作戦は完全に日が落ちる前に終了。
元に戻した街の人々はビルの拠点と、同じような大きさの拠点2に分かれて夜を過ごしてもらう事にしたらしい。
外にはまだ魔物が彷徨いているという事もあってか、反発したり不満を漏らす人はゼロ。
彼女は作戦が終わり次第男と一緒に山に帰ったが、青年は騎士団の面々と今後の事を話し合うために街に残る事に。
…こうして人々がゾンビ状態になって滅んだ街を元に戻す、という作戦は成功という形で終わる。
そして翌日。
「…ふあ~……っと…」
彼女はベッドで上半身を起こし右腕を上げて伸びをすると息を吐いて起きた。
「…朝ごはんの準備…」
まだ日が上がらない薄暗い時間帯から彼女はのそのそと動き始める。
「…簡単に山菜炒めでいっか…」
寝起きで上手く動かない頭で朝ごはんのメニューを考えると、彼女は保管庫として使っている部屋に入り野菜や山菜を取り出す。
「……ふう…」
彼女はシンクで顔を洗うとタオルで拭いて水を溜めた。
「…さーてさて…っと…」
水を溜めてる間に彼女は戸棚から大きな中華鍋を取り出してコンロに置く。
そして用意した山菜や野菜を溜めた水で洗うと皮ごと切る。
「てれってれってれってれって♪」
機嫌良さそうに口ずさむと火を点けて大きな中華鍋に油を入れ、切った食材を炒め出した。
「完成…っと…スキル『料理』」
大きな中華鍋いっぱいの野菜炒めを作り終えると彼女は袋からフライパンを取り出してスキルを使う。
「包丁スキル『輪切り』『短冊切り』」
余らせた野菜を少し、スキルを使って切るとフライパンで炒めて調味料で味付けして食べる。
「よし」
食べた料理の付与効果である『腕力強化』で自身のステータスを強化すると、彼女は中身がいっぱい入ってる大きな中華鍋を持ち上げて外に持って行った。
「さーら、皿…っと」
彼女は大きな中華鍋を地面に置き、家の中に戻って戸棚から大きな皿を取り出してまた外に出る。
「…おは、よう…」
魔物へご飯をあげ終わり、スキルを使って片付けた後に自分達の分の朝食を作ってると男が起きてきた。
「はよ、あ…アレ帰って来ると思う?」
彼女は男を見ずに挨拶するとふと思い出したように聞く。
「…どう、だろうな…おそらく…昼過ぎぐらい、だろう…」
男は眠そうに椅子に座るとそう答える。
「んじゃ、朝ごはんは作らなくても大丈夫か」
まあ作ってないけど…と呟くと彼女は料理を皿に移した。
「…ふあ~…顔でも洗ってくるか…」
テーブルの上に置かれた料理を見て男は眠そうにあくびをして洗面所に向かう。
「いただきます」
そんな男を全く気にする事なく彼女は手を合わせてご飯を食べ始める。
「……毎日朝からこんな料理を食べれるなんて昔は思ってもみなかったな…」
洗面所から戻ってきた男は野菜炒めを一口食べてしみじみと呟く。
「…ご馳走様、洗浄スキル『浄化』」
彼女は男を無視してスキルを使って皿を綺麗にすると外に出て行った。
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