「…少しいいか?」
「?なんだ?」
男は外に出ると女の人と話している青年に話しかけた。
「その子が何故ここに?」
「ああ…遊びに来たい、と言うから戻るついでに連れて来たんだ」
男が問うと青年は笑いながら答える。
「…どうも遊びに来た、という雰囲気では…」
青年の返答に男は納得いってないように女の人を見ながら呟いた。
「?そうか?」
「…ああ、さっき家の中に戻ったが…なんか彼女と気まずいような空気だったような…」
あんまり気にしてないような青年に男が小声でさっきの状況で自分が感じた事を知らせる。
「…彼女は厄介事を嫌うからな…あの子が何かしらのトラブルでも引き寄せると思ってるのかも…」
「…ああ、そう言えば俺の時も…助けてくれたではあるが、歓迎してる感じは無かった」
青年の言葉に男は感じるところがあったのか思い出した事を話す。
「俺の時も助けてくれた直ぐその後から厄介者扱いされていたよ」
「そうか…ならあの子はまだ受け入れてくれてる方なのかもな」
青年が賛同すると男は納得して引き下がった。
「…なあ、彼女はツンデレ…のカテゴリーに入るのか?」
男は少し考えて青年に聞く。
「冷たい態度を取りつつも、なんだかんだ拒絶しないんだからツンデレじゃないか?」
「いや、拒絶しないのはデレに入るのか?そもそもツンデレとは『好意的な態度を取るのが恥ずかしくて照れ隠しで冷たく接してしまう事』だろう?」
「それはその好意的の解釈にもよるのではないか?なにもツンデレ=天邪鬼のように冷たい態度が愛情表現、では無いと思うが」
ここでまさかの議論が始まる。
「いや、そのギャップをツンデレと言うんであって…」
「それならば彼女のそれだってそのギャップに…」
結局どうでも良いような議論は、彼女が昼ご飯の完成を告げに来るまで続くのであった。
そして昼食後。
「あのっ!今日、ココに泊めて下さい!」
スキルで綺麗にした食器を戸棚に片付けてる彼女に女の人が頭を下げる。
「…なんで?」
彼女は予想外の状況に一瞬動きが止まるも片付けを再開しながら聞く。
「いえ、その…」
「…残念ながら寝る場所が無いから無理」
言葉に詰まる女の人に彼女は手を動かしながら少し考えて断った。
「寝室にはベッドが一つしか無くて、今二人は床に布団を敷いて寝てんの、その状況であと一人増えるのは流石にキツイっしょ」
彼女は続けて今の状況を説明する。
「…寝る場所があれば泊めても大丈夫なのか?」
椅子に座って女の人とのやりとりを聞いていた青年が彼女に問う。
「…ん~…まあそうだね、それ以外に断る理由が無いし」
「よし、ならば今日は俺がココで寝よう」
また少し考えた彼女の返答に青年が床を指差して提案した。
「待て待て!そうしたら俺は女の子二人と一緒に寝る事になるのではないか!?」
青年の提案に男が椅子をガタッと鳴らして立ち上がり反対する。
「そうだな、軽いハーレム状態だ…異論は無いだろう?」
「無いワケないだろう!そんな気を使う状態になるのなら、俺がココで寝る!」
ニヤリと笑った青年の言葉に男は別の提案をした。
「ちょっと待て!そうなると俺が…!」
「…じゃあもう二人共ココで寝たら?」
青年のイタチごっこのような反論に彼女は呆れたように疑問系で言う。
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