そしてその作業を繰り返す事、数時間。
「…うーむ…ギリギリで半分までは届かなかったかぁ…」
時間になり、彼女は一輪車に盛られている穀物の量を見て残念そうに呟きながら片付けを始める。
「…もう少しだったのに…まあいいか」
悔しそうに零すと気持ちを切り替えてタライに布を被せて紐で縛った。
「…ただいま」
「…ただいまです」
彼女が片付けを済ませ床を掃いていると青年と女の人が戻ってきて挨拶をする。
「……ああ、うん」
彼女は青年の『暗黒騎士』という職業表示を見て二度見するも直ぐに興味を失って掃除を続けた。
「…一応反応はしてくれるんだな…」
彼女が二度見したので青年は意外そうに呟く。
「『魔剣士』から『暗黒騎士』に変わってますもんね…」
普通はもっと驚くと思いますけど…と女の人は首を傾げながら言う。
「…俺だってまさかこうなるとは思いもしなかったけどな…」
女の人の言葉に青年はため息を吐きながら返す。
「…でも凄い事だと思います!」
落ち込むような様子の青年を元気付けるように女の人が声をかける。
「…凄くなどないさ、ある意味俺は堕落したようなモノだ」
この強さは彼女のおかげで手に入れたも同義だからな…と青年は自虐的に笑う。
「…力を楽して手に入れた事に変わりはない、立場的には魔剣士と一緒なのかもしれない…」
援軍として行った街で何かあったのか…青年は少し自虐的になっていた。
それから10日後。
「…準備は出来た?」
大きなリュックサックを背負った彼女が家の中にいる男達に聞く。
「ああ、俺の方はバッチリだ」
『暗黒騎士 Lv48』と表示されている青年は椅子から立ち上がりながら言う。
「…よし、俺の方もバッチリだ」
『魔導召喚師 Lv29』と表示されている男は袋の中身を確認して椅子から立ち上がる。
「あ、私の方も大丈夫です」
『聖騎士 Lv35』と表示されている女の人も男や青年に乗っかるように頷く。
「よし、じゃあ世界を平和にするための旅に出発という事で!」
全員の返事を聞いて彼女は仕切るように意気揚々と声を上げ、ドアを開けて外に出た。
打ち切り的な感じで…
ーーーーーーーーー完ーーーーーーーーー
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