「りょ、料理にそんな付与効果が…?」
彼女についての事を青年の時と同じ説明をすると男は口角をヒクヒクさせながら呟く。
「おそらく彼女が省いてるだけで年齢に関する付与効果もあるんじゃないか、と思っている」
「…確かに…美形補正だけでは大人の女のような顔にはなれないからな…」
「あと、身長の問題も出てくる」
彼女の説明について二人が考察してるが、説明した当の本人は興味無さそうにタレを作っている。
「これは…幸いと言うべきか、俺は口が堅い方だから広めはしないが…」
「ああ、その付与効果が民衆に知れたら大変な事になると懸念している」
「…乳房補正、美形補正…おそらく年齢補正か…?に身長補正、といった所か…」
男は彼女が省いたであろう付与効果も紙に書いた。
「年齢補正があるとしたら不老不死に近いな…」
「…待て、美形や乳房は補正で分かるが…年齢や身長は補正で良いのか?」
青年の呟きに引っかかりを感じたのか男が疑問を呈する。
「…ふむ、そう言われると…ではそうだな…老化はどうだ?」
「老化か…確かに『老化+』や『老化-』とかはありえる…」
「だろう?身長は『成長+』だとすると…」
彼女に聞けば早いようなどうでもいい議論で二人は盛り上がっていた。
「ふふんふ~ん♪」
「だから!これはこうだろう!」
「違う!これならばこうすべきだ!」
「「ぬぬぬ…!」」
二人がずっと議論を続ける事、数時間。
辺りはすっかり暗くなり、夜の時間帯に。
「だから!ココから敵が来た場合はだな…」
「そうなるとココが…」
「はいはい、夕飯の時間だから紙を片付けろ」
いつの間にか議論が山に国軍が攻めて来た時の対処法にすり替わってる中、彼女が丼椀を持って終わりを告げる。
「あ、ああ…すまない、俺とした事が熱くなってしまったようだ…」
「いや、俺の方こそムキになってすまない…」
お互いに仲良くなったのか男と青年は謝りながらテーブルの上に広げられた紙やペンなどを片付けた。
「で、何をそんなに言い争ってたの?」
「いや…もし組織がこの山の魔物を掃討しに来た時のための作戦を…」
彼女が丼椀をテーブルに置きながら聞くと青年が気まずそうに答える。
「争う必要あるの?魔物はココから出て行きませんので…って説明したら?」
「騎士団には既に説明してある、魔物のレベルも上がっているから暫しの間この山を不可侵領域として定める事で問題は解決した」
「だが、別の組織の過激派などがいつ攻めてこないとも限らないだろう?」
彼女の疑問に青年が答えると男が仮定の話を切り出した。
「攻めて来たとしても話し合いは出来るだろ?」
「もし相手が話を聞かず問答無用に襲いかかって来たらどうする?」
「どうする…って俺なら逃げるよ?」
男の問いに彼女は疑問系で返す。
「逃げるって…この山を放棄してか!?」
「いやいや、小屋までって事だよ」
驚いたように立ち上がる青年に呆れたように彼女が言う。
「その後は?」
「とりあえずご飯作る?腹いっぱいになれば帰ってくれるっしょ」
「…人間と魔物を一緒にす…なるほど、ソレが平等の扱いか…」
戦うという選択肢の無い彼女の答えに男と青年は呆れたようにため息を吐く。
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