「…だから俺の居場所が分かったのか…」
男は疑問が解けたのか納得したように呟く。
「…それよりあの飛空艇とやらは?」
上空に見えないが…と女の子は空を見上げて問う。
「アレならば『ストック』している、一応召喚獣と同じ扱いだからな」
「…あんな巨大な召喚獣など聞いた事ないが…」
男の返答に女の子は反応に困り微妙な感じになる。
「…まあ見た目も構造も機械と大差無いわけだから召喚『獣』という表現があっているのか…」
どちらかと言えば召喚機になるような…と男も微妙な反応を見せた。
「…どちらにせよ、あそこまで巨大な物を召喚するのだ…強大な力である事に変わりはあるまい」
「…確かに…だが9割ほど彼女のおかげだ、俺だけではあんな物は作れない」
褒めるような女の子の言葉に男は賛同しつつも首を振って否定するような事を告げる。
「…?貴方が作ったのでは?」
「…作ったのは俺だ、俺が一人で作ったのだが…なんて説明したものか…」
女の子の疑問に男は腕を組んで首を傾げて考え始めた。
「…?…まあいい、ソレは後から聞くとして、今は本部に向かうのが先だ」
「…そうだな」
女の子は不思議そうに首を傾げるも指示をすると背を向けて歩き出す。
男も深く考える事を止めて女の子に賛成し後をついて行く。
「…そろそろ昼時か…本部に行く前に昼食でもどうだ?」
「…いいのか?」
女の子の提案に男は意外そうに問いかける。
「…本部に行く前に、とか行ってなかったか?」
女の子の後をついて行った男が着いた建物を見て聞いた。
「…本部の食堂の方が移動時間が少なく済むから」
「…まあ俺はどこでもいいが…」
女の子の言葉に男は呆れたようにため息混じりで返す。
「教皇と会うのは13時、今は11時36分…着くのは早いに越した事はない」
「食後の1時間は何をしろと…」
女の子が説明すると男はやれやれ…と肩を竦める。
「そんなの知らない」
男の反応に女の子は一瞬だけ不快そうな表情になるも直ぐに元の表情に戻った。
それから大した会話は無く、食堂に到着。
「…ふむ、食券か…何にしようか…」
昼食時なのに何故かガラガラの食堂の食券機の前で男は悩む。
「早く決めた方が良い、12時からは一気に混む」
女の子は横からボタンを押して食券を取り出しながら注意する。
「…なら、無難にデュリオブールにでもするか」
女の子の言葉に男は決めた料理のボタンを押して食券を取り出し、カウンターへと移動した。
そしてカウンターで肉と野菜の炒め煮の入った皿を受け取ると入口に近い一番端っこの席に座る。
「……まあこんなものか」
男は料理を一口食べると落胆したように呟く。
「…デュリオブール…私と同じ…」
女の子が皿の乗ったお盆を手に男の対面側に座ると食べてる料理を見て呟いた。
「…いたって平凡で普通の味だな…」
「…料理に栄養と腹を満たす以外何かある?」
男の呟きを聞いた女の子が聞き返してくる。
「…可哀想に…」
すると男は同情したような目で女の子を見てボソッと漏らした。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!