食後。
彼女は大きな皿や食器をスキルで綺麗にして片付け、男や青年達は椅子に座って休み…まったりとした空気が流れる。
「…あれ?そういえば…」
そんな中で女の人が思い出したように辺りを見渡して呟いた。
「?どうしたんだ?」
疑問に思っているような女の人を見て青年が聞く。
「ココってテレビとかラジオとか無いんですか?」
「「!…そういえば…!」」
女の人の聞き返しに男と青年が同時に今気付いたような反応をする。
「全く不思議に思わなかったが、言われてみれば確かにテレビやラジオとかが無いな…」
「ああ、無くてもなんら不自由では無かったし…」
男と青年は言いかけて彼女をチラッと見た。
「……なに?」
「い、いや…なんでもない…!」
視線に気付いた彼女が不機嫌そうに聞くと男は慌てて取り繕う。
「ココってテレビとかラジオとか無いんですか?」
「な…!?」
彼女の事をまだ分かってない女の人がストレートに聞くと青年が隣で驚愕する。
「見て分からないの?テレビやラジオが欲しいんならこの山から出てけば?」
「ち、違う!この子はそういう意味で言ったんじゃ…!」
彼女が冷たい目と声で聞き返すと青年が立ち上がって必死に女の人をフォローした。
「…どういう意味で言おうと、言うだけなら構わないよ…でも、ココに何かを求めるぐらいなら求める物がある所に行った方が良いんじゃない?」
「す、すみません…軽率な発言でした…」
暗に出てけと言っている彼女に対し女の人は頭を下げて謝る。
「…なんだかんだ強制的に追い出しはしないんだよな…」
そのやりとりを見て男が彼女に聞こえないような小声でボソッと呟いた。
「…えいっ!」
「そうだ、さっきよりも良くなっているぞ」
「…なにしてんの?」
昼過ぎ。
畑や洞窟から戻って来た彼女が、青年の持つ剣に対して打ち込みを行っている女の人を見て聞く。
「剣術の指南だ、鍛えて欲しいと頼まれたのでな」
「ふーん…ご苦労な事で」
自分から聞いたにも関わらず彼女は青年の返答に興味なさそうに返して家の中に入る。
「おお、おかえり」
「ああ、うん…ただいま」
本を読みながら挨拶して来た男に彼女はどうでもよさそうな感じで返してテーブルの上に籠を置く。
「そういえば、外でアイツと女の子が模擬戦闘をするらしいぞ?」
「へー、で?」
男が思い出したように言うも彼女はだからどうした的な、全く興味なさそうに聞き返す。
「暇潰しに一緒に見ないか?」
「…私はあんたらと違って夕飯の準備があって暇じゃあ無いんだけど…まあいいか」
椅子から立ち上がり笑いながら提案する男に彼女はため息混じりに呟きながら折れた。
「えいっ!やあっ!」
「…なんだ、まだ始まってなかったのか…」
折りたたみの椅子を持って外に出た男がまだ打ち込みしてる女の人を見て残念そうに零す。
「…おお?何かあったのか?」
家から出てきた男と彼女を見て青年が剣を下ろして小走りで近寄って来る。
「いや、お前達の模擬戦闘とやらを観戦しようと思ってな」
「…彼女も?」
男の言葉に青年はえらく驚いたように折りたたみ椅子に座ってる彼女を見て聞いた。
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