翌日。

「やあっ！はあっ！」

太陽が上がり始めた時間帯にギイン！ギイン！と鉄同士がぶつかる音や掛け声のような声が。

「違う、剣を振り下ろす時に踏み込むのは相手に隙が出来た時だけだ」

朝食の前に青年が女の人に剣術を指南していた。

「…そろそろ朝食の時間か…戻ろう」

「は、はい…」

青年が袋からケータイを取り出して時間を確認して言うと息を切らした女の人が賛成する。

「朝食後は少し休んでから動きの確認をしよう…ただいま」

「お願いします！」

「おー、おかえりぃ…」

青年達が予定を立てながら家の中に入ると料理中の彼女が適当に返す。

「…毎日朝からご苦労な事だ…」

寝起きらしい男が青年を見て呆れたように呟きながら水を飲む。

「強くなるには鍛錬しか無いからな」

「これだから肉体派は…」

青年の笑いながらの言葉に男は理解できないと言った感じで零した。

「はいよ」

青年と女の人が洗面所に手を洗いに行ってる間に彼女が皿に盛られた料理をテーブルの上に置く。

「お、今日のスープはいつもと違った感じだな…」

お椀に入れられた味噌汁を見て男が不思議そうに言う。

「味噌汁っていうスープで、豆から作る調味料を溶かしたやつ」

出汁は海藻もどきとカツオ節の代わりに似た感じの魚節だけど…と彼女は調理器具をスキルで綺麗にしながら説明する。

「カツオ…？…ソレは良く分からんが美味そうな匂いだな…」

男は不思議そうに首を傾げるも疑問を放棄して味噌汁の匂いを嗅いだ。

「…まあその味噌にも赤味噌と白味噌、合わせ味噌の三種類あってね…結構種類で好き嫌いが分かれるらしいよ」

「そうなのか…今回のはどれを使ったんだ？」

彼女が味噌の説明をすると男が少し興味を持った感じで聞いた。

「無難に白寄りの合わせ味噌」

「？なんの話をしているんだ？」

椅子に座りながら彼女が答えると青年と女の人が戻って来る。

「…これは…美味いな…！不思議な味わいだ…！」

青年の疑問をスルーして男が味噌汁を飲むと絶賛した。

「？？とりあえず食べようか」

「はい」

青年は不思議そうな顔をして女の人に声をかける。

「…おお、今日のスープはいつもと違った感じのような…」

「ミソシル…と言うらしい、美味いぞ」

お椀に入ってるスープを見て被ったセリフを言う青年に男が料理名と感想を教えた。

「だろうな、彼女が作ったんだから不味いハズがない」

彼女を信頼してるような事を言って青年はスプーンを取ってお椀に手をかける。

「…コレは？」

「…豆腐、豆から作った食材だよ」

青年が正四角形のサイコロ状に切られた豆腐をスプーンで掬って聞くと彼女は食べる手を止めずに説明した。

「トーフか…初めて聞く食材だな…おお！？」

豆腐を珍しそうに見た青年は一口食べて驚いたように声を上げる。

「ど、どうしたんですか？」

「噛んだ時の食感がまるで無い！」

「……本当だな、固形なのにこの柔らかさは…」

「うるさいよ、黙って食べられないのか？」

青年や男の反応に彼女が鬱陶しそうに言う。

「「…すまん」」

不機嫌でイラついたような彼女の雰囲気と表情に気付いた青年と男が同時に謝り、静かになった。