「「「「第三段階…?」」」」
「第三段階は、この大釜に入ってる液体をゾンビ状態の人々の顔にかけて元に戻す事だ」
「元に戻した人達はこの拠点となるビルに収容し、安全のため外に出さないようにする事」
騎士団の面々が首を傾げたので男と青年が説明していく。
「安全管理のために騎士団の数名はココに残ってほしい」
「…それなら俺がやろう」
青年が提案すると騎士団の団長が手を上げる。
「団長がやるなら…あたしもやろうかね」
「じゃあ俺も~」
すると『騎士 Lv28』という表示の女と『騎士 Lv25』と表示された軽そうな青少年も手を上げた。
「…出来ればあと一人ほどココに残って欲しいんだが…」
「は、はい!では私が…!」
青年が騎士団の面々を見渡すと女の人が手を上げて立候補する。
「…各々の役割が決まったところで、早速第三段階に移るとするか」
男がそう言って袋から大量の水筒を取り出す。
「…水筒…?」
「使い方は簡単だ、蓋をコップにして液体を入れ…あとはゾンビ状態のやつの顔にかけるだけだ」
呻く時には口が開いてるから口を狙えよ、と男は告げて近くにあった脚立を立てた。
「とりあえずゾンビは群がってくるから、近くの人達から戻した方がいいよ…じゃあね」
彼女は少しだけ助言すると拠点であるビルから出て行く。
「…待て!一人でどこへ!?」
急に出て行った彼女に驚いて少しの間惚けていた青年は状況を理解するや否や走って追いかける。
「ここは危ないぞ!」
「…そんなの分かってるって」
青年は彼女に追いついて注意しながら肩に手をかけるも冷たい目を向けられて手を払われた。
「…一体どこに行こうとしてるんだ?」
「あんたが交渉した魔物と会おうと思ってね」
「…なぜ?」
彼女は青年の問いに答えるも理解できないといった感じで尋ねられる。
「魔物はゾンビ状態から戻しても襲ってこないとは限らないじゃん?」
だから言葉が通じる魔物に説得して貰おうと思って…と彼女は青年の方を見ないで言う。
「…なるほど、そう言われたらそうだな…」
彼女の言葉に青年は納得したように呟いた。
「…ところで、その魔物がいる場所は分かっているのか?」
「適当に歩いてれば遭遇するんじゃない?」
「…適当に、って…こんな危ない街をか…?その魔物場所は知ってるから案内しよう」
青年が聞くと彼女が適当に聞き返し、呆れたように言った後に案内役を買って出る。
そしてゾンビ状態の人々を避けながら歩く事数分。
『…主は…』
「久しぶり…だな」
「ふーん…コレがねぇ…予想とちょっと違うかな」
喋れる魔物が気づくと青年が挨拶し彼女がポツリと呟いた。
『その隣の人間は?』
「ん?ああ、私はこの作戦の発案者だよ?」
不思議そうに魔物が問うと彼女が聞き返す。
『…街を半分魔物の領土にする、とかいう作戦の…?』
「そうそう、というワケで…魔物のゾンビ状態を解除した時の説得に協力してくんない?」
疑うような魔物の言葉にも彼女は軽いノリで提案する。
『…説得?』
「…俺が君達に話したような事だ、いきなり襲われないように…だな」
『…分かった、けど、騙した時は一緒に暴れるからな』
理解出来ないように聞いてきた魔物も青年の説明を聞いてまたもや釘を刺しながら了承した。
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