「…意外と本格的な畑だな…」
「収穫したばっかだけどね」
ホースで水をかけている彼女の隣で見ていた青年が意外そうに零す。
「こんな所だと魔物や動物による作物被害が心配じゃないか?」
「周りの柵には動物、魔物除けの呪符を張ってあるから…心配なのは鳥だけだよ」
辺りをキョロキョロ見渡しながら青年が疑問を聞くと彼女が空を見上げて答える。
「なぜこんな所に畑を?」
「意外と土の質が立派だったから」
近くに湧き水の川もあるから水もひけるし…と言いながら彼女は畑全体に水を撒く。
「なるほど…結構な広さだが、ココでは何を育ててるんだ?」
「野菜、穀物、果実類」
「…良く見たら木の板が突き刺さって文字が書いてあるな…キュウリ?」
彼女の説明らしき言葉を聞いて青年は畑を見て回り木の板に書かれている文字を見て首を傾げた。
「キュウリ…?これはキャベツ…これはピーマン…初めて見る名だが一体どういう野菜なんだ…?」
青年は不思議そうに首を傾げながら木の板に書かれている名前を順番に見ていく。
「おお!シュトリか!これは知ってるぞ!デイミル、モランダ、アーヘイム…これらは有名だな」
木の板に書かれてる名前に知ってる名称があったのか、青年は子供のようにはしゃいでいる。
「…それにしても色々な種類を育てているんだな…まるで農家だ」
「…本業の農家みたいに上質な物は育てられないけどな」
水まきを終えた彼女はホースを片づけながら青年の呟きに返した。
「!?次はどこへ行くんだ?」
来た方向とは違う方向に歩いて行く彼女に青年は慌てて追いかける。
「洞窟」
彼女は追いかけて来た青年を嫌そうに見て短く返した。
「…この洞窟は…少し変だな」
片側だけ川のようになっている洞窟の中を歩きながら青年が呟く。
「…池…?いや…ソレにしては魚が…」
「いけすだよ、いや…養殖場かな?」
洞窟の奥にある大きな池を見て首を傾げてる青年に彼女が教える。
「!?そんな事も…!?」
「色々聞いて回ってた事があったから知識だけはあるからね」
驚く青年にそう言うと彼女は池の近くにある網を使って泳いでる魚を掬う。
「今日の夕飯は焼き魚とキノコの網焼きかなぁ…」
下ろしたカゴに魚を入れながら彼女は夜の献立を考え始めた。
「焼き魚か…魚はちょっと…」
「…なに?あんた厚かましく夕飯まで食べてく気なの?」
頬を書きながら告げた青年に彼女が冷たい目を向ける。
「ああ、いや…すまない、口が滑っただけだ」
「…はぁ…食べるならあんたの分まで作るけど?」
「!!じゃあぜひ!」
彼女はため息を吐きながらもしょうがなさそうに嫌そうな顔で聞くと青年は笑顔になって頼む。
「…もしかして君って…ツンデレ、ってやつか?」
「…どうだかね」
青年の言葉に彼女はギロッと睨むも適当に流した。
「今度はどこに?」
「洞窟」
また来た場所とは違う場所へと歩き出す彼女に青年が問う。
「っとその前に…」
左側に向かって歩いてた彼女が急に右側に方向転換する。
「ねぇ、あんたこの岩を斬れる?」
岩がゴロゴロしてる場所で彼女は大きな岩に手を当てて青年に聞く。
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