「…はい、はい………ではそのように、了解しました…失礼します…」
話がまとまったのか女の子は誰もいない場所に頭を下げて通話を切った。
「…教皇が貴方と直接お会いになりたいそうだ」
「…なに?魔導協会のトップが直々に、だと?」
女の子が不満そうな顔で告げると男が怪訝そうな顔になる。
「そうだ、貴方がふてぶてしく魔導協会に条件を突きつけれるほどの人物かどうかを直で確認したいらしい」
「ふん、条件を突きつける奴など俺以外にも居るだろうに…」
不満気を隠しもせずに言う女の子に男が面白くなさそうに返す。
「…条件の内容も言わずに良く言う…とりあえず、貴方にはこれから私と一緒に教皇の下へと来てもらう」
そんな男の様子に女の子は呆れたように呟いて指示した。
「…そうだな、教皇を小国のこんな辺境の地に呼ぶワケにもいかんからな…異論はない」
男は顎に手を当てて少し考えると女の子の指示を素直に受け入れる。
「…ココから本部までは大体10日ほどか…急げば一週間ほどで…」
「…魔導協会の総本山というと…『ビューゲル』か…テストには丁度いい」
女の子がブツブツと呟きながら予定を立ててると、男が袋から地図を取り出して場所を確認した。
「召喚スキル『シュリオ』」
そして手を上げてスキルを使うと男を中心に魔法陣が展開し…
男の真上の上空に巨大な飛空艇が現れる。
「…なっ…!!?」
男を中心に展開された魔法陣を見て不思議そうに空を見上げた女の子が驚きのあまり絶句した。
「さて行こうか…『ライド』」
驚く女の子をスルーして腕を掴むと男が何かを唱えるように言う。
すると一瞬だけ魔法陣が現れて2人の姿が消える。
「…ココ…は…?」
急に景色が変わり我に返ったのか女の子がキョロキョロと周りを見渡しながら呟いた。
「戦闘型飛空艇『シュリオ』の操舵室だ」
男はハンドルのような舵輪のある椅子に座りながら答える。
「戦闘型…飛空艇…?」
「ああ、俺が昨日全精力を注ぎ込んで作り出した移動用の召喚獣だ」
機械に獣と言っていいのか分からんがな、と男がハンドルに手をかけて笑う。
「!?もしかしてこんな巨大な物を一人で…!?」
「…俺の力だけでは無い、が…作ったのは俺一人だ」
女の子の驚いたような問いに男はどう表現するか迷ったように返した。
「童話や御伽話をモチーフにしたからか…全長222m、全幅33mとかなり巨大になってしまってな」
言葉を失っている女の子に対して男が少し恥ずかしそうに話す。
「ぜ、全長222mって…もう人間技じゃ…」
「一個大隊ぐらいなら軽く収容出来る大きさだが…俺もまだ全容の詳細を把握してるワケではない」
おそらく最大収容人数は4000人ほどか…と男は目の前のガラスに映し出されてる地図から目を離さずに告げる。
「よ、4000…」
「…まあこの速度なら半日もかからずに着きそうだな」
口角をヒクヒクさせてる女の子を見ずに男は目的地を設定してオートパイロットにした。
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