二日後。
「ウオーン!」
「バウ!」
「…なに?」
昼ご飯の準備をしてる最中に鳴き声や吠える声、ドアにしきりにぶつかるドン、ドンという音がしきりに聞こえ…彼女はイラつきながら外に出た。
「…なに?」
すると魔物が服らしき布を噛んで彼女の所まで引きずってくる。
引きずられてるのが人だと気付いた彼女は不思議そうに首を傾げた。
『…久しぶりに肉が食える、と喜んでいるようだ』
どこからかやって来た魔物のボスが下っ端?の魔物の通訳をする。
「肉が食べたかったなら言えば良いのに…って、もしかして山の外から狩ってきたの?」
魔物の言い分に彼女は呆れたように返し眉を寄せて問う。
『…いや、山の中で倒れてたそうだ』
「…あー良かった…面倒事は回避できたっと」
ボスの通訳に胸を撫で下ろした彼女は倒れてる人を見た。
倒れてる男は『魔術師Lv21』と表示されており…HPゲージがギリッギリで点滅している赤。
「もしかして行き倒れ…?夜は肉にするから解散していいよ、って伝えて」
『…分かった』
彼女はボスに通訳させると倒れてる男を引き摺って家の中に入れる。
「スキル『料理』」
家の中に入った彼女はフライパンを取り出してスキルを使う。
「うーん…弱ってるっぽいし…先ずはスープ系かな?」
スキルを使って野菜スープを作った彼女は男の上半身を起こして飲ませた。
「…う…」
なんとか全部飲み干すと緑色の光が男を包みHPゲージが赤から黄色になる。
「とりあえず昼ご飯はコイツの分もか…洗浄スキル『浄化』」
スキルを使って皿を綺麗にした彼女は男をほったらかしにしたまま昼ご飯の準備を続けた。
「ふんふ~ん♪」
「う…」
「お、目ぇ覚めた?」
大皿に料理を盛ってる最中に男が呻き上半身を起こす。
「…ここ、は…?」
「山小屋ってやつ?はい、あんたの」
彼女は男の疑問に疑問系で答えて料理の盛られた皿をテーブルの上に置く。
「…いい、のか…?」
男は料理を見てヨダレを垂らしながらも彼女に確認を取る。
「要らないなら食べなくてもいいよ」
「ありがたく、いただく!」
振り向かずに言った彼女の言葉に男はテーブルの上の料理にがっついた。
彼女はそんな男の様子をみじんも気にせずに大皿を持って外に出る。
「あと3皿分あるからさ」
集まってきた魔物の群れの前に両手の大皿を地面に置いてそう告げ彼女は家の中に戻った。
「…もう食べたの?」
「こんな美味い料理は初めてだ…!ありがとう!」
テーブルの上の空になってる皿を見て彼女が呆れたように聞くと男は頭を下げる。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!