かつて、この世は魔法によって支配されていた。
魔法は姿かたちをもち、各々異なる権能を以て世界を管理し、社会を運営した。その支配には一点の瑕疵もなく、争いは生じず、人類は甘んじてそれを受け入れていた。
今は違う。
ある日なんの前触れもなく忽然と、魔法は姿を消してしまった。
そして訪れた混乱は、魔法の名のもとに統一されていた社会をばらばらに引き裂き、人類を争わせた。
魔法が消えた日から三十余年、いまだ混乱の中にある世界で、魔法使いの血を引く少年クリスは、ある少女と出会う。
少女は自らを魔法の生き残りであると称し、クリスを旅へと誘う。この世に魔法を取り戻すための旅へ。
それは、世界の謎を解き明かす冒険の始まりだった。