独特な幻想世界を、一人称の主人公目線で少しずつ知っていく『帰りし物語』。
人間が必ずしも霊長ではない世界はファンタジーに数多いものの、この世界は多くの存在が意思の疎通が可能であるために、障壁がない分人間やそれ以外の存在の業が浮かび上がりやすい面がある。
意外に凄惨だったり時に残酷な展開もあるが、柔らかに進んでいく物語は主人公のしなやかな強さをそのまま表現する形になっている。
確かに『幻想譚』と言える物語なので、ぜひ結末まで追いかけてみて欲しい。