☆★☆★☆★☆★☆★
「『トイレって言わないでくださいましっ! トイレキャラはイヤですわっ!』」
「おぉ~、器用だなロレッタ」
「あはは! 似てる似てる!」
あたしは、止まったマスに書かれていた『知人のモノマネをする』を見事に実行してみせたです。…………すごく恥ずかしかったです! 誰です、これ書いたのは!?
あ、絶対お兄ちゃんです。吹けてない口笛吹いて誤魔化してるです!
しかし! こんなものは序の口です! ふっふっふっ……あたしの書いたマスに先頭集団が近付いていくです。さぁ、誰が止まるですか? かつて、あたしがやられて三日三晩苦労したあの忌まわしい記憶……それと同じ苦痛を味わってもらうです!
「あ、私今一回休みだから、次はパーシーね」
「あ、ありがとうす! ネフェリーさんに渡してもらったサイコロ、大切に使わせてもらいます!」
大袈裟に喜んでパーシーさんがサイコロを振るです。
出た目は……『3』!
やったです! あたしの書いた恐ろしい命令のマスに止まったです!
『顔に墨で落書きをされる』
「はっ!? パーシーさん、もう落書きしてるです!?」
「落書きじゃねぇ!」
なんということですか……折角、以前お兄ちゃんにやられた、屈辱の『おでこに【肉】』をやってやろうとしてたですのにっ!
「使えないです、パーシーさん! ガッカリです!」
「酷い言われようだな!?」
空気の読めない男、パーシーさん。
これはダメです。モテないです。どこまで行っても『いいお友達』どまりです。
空気が読めないとそういうことになるです。
「確かに、パーシーの顔に今さら何か書いたって面白くないよね」
「ちょっと! オレは面白くしようとしてこの顔してるわけじゃないぜ!?」
「えっ!? 違ったッスか!?」
「ちっきしょう! あんたは味方だと思ってたのに、なんだよ、このキツネ!?」
立ち上がってぎゃいぎゃい喚くパーシーさん。
みっともないです。絶対モテないです。
「よし、分かった。俺に任せろ」
ぽんと膝を打って、お兄ちゃんが立ち上がりました。
そしておもむろに厨房へ行き…………濡れたタオルを持ってきました。
「パーシー、顔を貸せ」
お兄ちゃんがパーシーさんの顔を拭いていきます……
「よし! 完成だ」
お兄ちゃんに弄られていた顔をこちらに向けるパーシーさん。
途端、あたしたちは全員吹き出したです。……その顔は卑怯です……っ!
パーシーさんは、左右の目の中央の黒い部分を綺麗に拭き取られていたです。その顔は、どっからどう見てもパンダです。パンダ人族です!
「「「ぶふぅーっ!」」」
これは……卑怯です。
こんなもん、笑うに決まってるです……
「パ……パーシーさん……面白い顔しないでです……っ」
「好き好んでこうなったわけじゃねぇよ!?」
『肉』よりも酷いものがあった……あたしはその日、それを知ったです。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!