異世界詐欺師のなんちゃって経営術

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宮地拓海
宮地拓海

挿話10 異世界詐欺師VS異国の詐欺師~序章~ -3-

公開日時: 2020年12月20日(日) 08:01
文字数:1,300

 ――一方、その頃の陽だまり亭。

 

デリア「ヤーシロー! 遊びに来たぞー!」

マーシャ「お久しぶりぃ~☆」

ヤシロ「おぉ、デリアにマーシャ」

ジネット「いらっしゃいませ、お二人とも」

デリア「ケーキくれ! ケーキ! あたいはモンブランで、マーシャはミルクレープだ!」

マーシャ「デリアちゃんから聞いて、すっごい楽しみにしてたんだよぉ☆」

ジネット「では、すぐにご用意しますね」

ヤシロ「で、今日は半魚人いないのか?」

デリア「キモさが許容量をオーバーしたから捨ててきた」

ヤシロ「そんなもん、年がら年中オーバーしてんじゃねぇか……」

マーシャ「そういえば、いつもだいたいここにいる大工さんは? 今日はいないねぇ☆」

ヤシロ「ウーマロか?」

マーシャ「そうそう。いつも私を見ては顔を真っ赤にしてくれるから、面白くて好きなんだけどねぇ☆」

デリア「こいつ、ワザと視線向けたりしてからかってんだぜ?」

ヤシロ「あんまりやると、あいつ死ぬぞ?」

マーシャ「大丈夫。ちゃ~んと瀕死で寸止めしてるよぉ☆」

ヤシロ「……大丈夫なのか、それ?」

マグダ「……ウーマロたちは今日、三十五区でお仕事」

マーシャ「あれぇ、そうなのぉ? じゃあすれ違ったかもしれないねぇ」

デリア「あたいら、今日はそこの門を通ってきたんだ」

マグダ「……お弁当を渡したから、たぶん今日は来ない」

ヤシロ「ウーマロなら、仕事を抜け出してでも顔を出しそうだけどな……」

マグダ「……キツネ人族なら、ノーマがいる」

ノーマ「アタシはケーキを食べに来ただけさね。あんたたちに構ってやるつもりはないよぉ」

デリア「別に構ってもらわなくても結構だよ。あたいらもケーキ食いに来ただけなんだ」

ヤシロ「好評なのはいいんだが……顔見知りばっかり集まってくるんだよな……」

エステラ「やぁ、みんな! 今日もケーキを食べに来た…………なんだ、この巨乳率!?」

ヤシロ「ほら、また顔見知りだ……」

エステラ「君たち! 同じ区に住んで、同じようなものを食べているのに、どうやったらそんなに育つんだい!?」

デリア「鮭!」

ノーマ「煙管」

マーシャ「オキアミ?」

エステラ「それ、単に君らの好きなものじゃないか!」

ノーマ「食べると胸が大きくなる食べ物なんてあるわけないさね」

マーシャ「でも、牛乳を飲むと大きくなるって言わない?」

エステラ「牛乳なんて、毎日飲んでるよ! それでもダメなんだよ!?」

デリア「鮭で十分だよ」

エステラ「鮭も割と食べるようになったよ!」

ノーマ「煙管はどうだい?」

エステラ「……煙管は……ちょっと……」

ヤシロ「大丈夫だエステラ。あいつらは何を食おうが食うまいが、巨乳になる体質なだけだ」

エステラ「じゃあ、ボクはどうすればいいんだい!?」

ヤシロ「諦めろ!」

エステラ「諦められるかぁー!」

ジネット「お待たせしまし…………エステラさん、どうされたんですか?」

マグダ「……生きるのはつらい……そういうこと」

ジネット「よく、分かりませんが……エステラさん、頑張ってください!」

エステラ「頑張るったって…………あ~ぁ、胸が大きくなる薬でもあれば、いくらでもお金出すのになぁ~!」

 

 

 

――それが、今回の騒動の発端となるなんて、この時は誰も思わなかった。

 

 

 

 

 

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