バイクバトン

MAGI
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一頁

公開日時: 2021年8月11日(水) 06:28
文字数:414

 日曜の正午、彼は走っていた。

 大型二輪で、ZR-01、YAMANE製で400㏄の新型のバイクだ。

 本来は趣味で、海の沿道や山間のスカイラインで走らせるのが彼の趣味だ。


 だが、今は街中を走っている。

 彼は訳がわからなかった。


 今の状況がである。


 後続に、パトカーが十台だろうか、いやもっとだろうか。

 かなりの台数が走っていてサイレンを惜し気もなく瞬かせている。


 そして、もっと訳が分からない最大の理由。


 後ろの座席シートに見知らぬ男が跨っている。

 血らしき紅い染みがついた迷彩柄のキャップを被り、サングラスをかけている。

 ヒゲも生えてなく、髪も綺麗なスポーツ刈り。

 キャップ以外は何処となくやばそうな雰囲気はない。

 背中に突きつけている拳銃を覗いて。


 男は時折後ろを振り返ってパトカーに向かって発砲を数回行っている。

 その内二発、タイヤに当たりパトカーが何台か吹っ飛んでいる。

 男は頭の中でグルグル同じことを連想し、同じことを叫んでいた。


 「何で!!?何で!!?」

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