大きな船は二人だけを乗せて海を渡ります。
光の魔法に当てられて人を必要としないその船は、自由気ままに波に揺られながら二人を目的地へ運ぶのでした。
「それにしても、光魔法って船も動かせるんだな、なんでなんだ?」
「それこそが、光魔法の特性なのでしょう。ベレスさんが不在の間に調べてみたのですが、何も分かりませんでした。ただ、因果律や運命のような要素に働きかける作用があるのかもしれません。あくまで予測です」
「つまり⋯⋯分かんないんだよな?」
「ええ、原理は何も⋯⋯ただ、動くという確信に賭けただけです」
「都合の良い魔法だな⋯⋯まあ、取り敢えずこれで次の港町には着けるな」
「ええ。その間にベレスさん、アレの作り方、教えてあげますよ」
「そうだった! 教えてくれっ! 着くまでに完成させるぞ!」
彼女達は船の上で話し合いながら少しずつ、魔王城までの道のりをなぞるのでした。
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久しぶりに日記を書く。
今日から魔王城に向けて出発だ。
船に揺られている間に、プレゼントを作る。
もう殆ど完成してる、後は私のを入れれば良いだけだ。
気に入ってもらえるだろうか。
そういえばカロンに友達って言われた時、アンジェの時と同じで心がきゅってなったな。
あの感覚、好きだからまた味わってみたい。
明日私からカロンに言ってみようかな。
今ならもっと、頑張れる気がするから。
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