お菓子を食べる為、足早に庭を後にする小さい私は、今の私に気付かずそのまま走って行ってしまった。
正直、元気な娘を見守るママの姿を見てしまっては、過去の自分に興味がいかない。
ママは本当に綺麗な人で、太陽みたいな人で、そして、天使だ。
純白な翼を背中に携えているのが何よりの証明。
彼女が空を飛び立つ時には必ず、金色の髪を靡かせながら、白く輝く羽が舞う。
自慢の母親だった、と思う。
「ベレス、あんまり走っちゃダメよ⋯⋯あら?」
不味い、ジッと立ち尽くしていたら気付かれてしまった。
「あなたは⋯⋯? 今魔族は皆戦地に赴いているはずだけど⋯⋯」
心臓が口から飛び出そうになるほどに跳ねてしまった。取り敢えずなんとか言い訳しなければ!
「あ、ああ〜、えっとえっと、あの⋯⋯休憩、休憩してましたっ」
ば、馬鹿だ〜ッッ!! 何を言ってるんだ私は⋯⋯!!
「あ、あら、そうなのですか⋯⋯? では、是非私たちと一緒にお茶でも致しましょう。今からベレスの為にお菓子を作る所ですので、良かったらあなたも⋯⋯」
「いえ、私は⋯⋯忙しいので⋯⋯」
「え? さっき、休憩中と仰っていたのでは? 急用ができましたか?」
「あ、ああ〜ごめんなさい⋯⋯んーっと⋯⋯やっぱり、お供します⋯⋯」
ママは両手を叩いて喜び、庭を後にした。
はあ、緊張し過ぎて身体が震えるし、顔が暑くて仕方がないし、口も思うように動いてくれなかった。
思えば数百年ぶりの再会なんだ、強張るのも無理はないか。
それにしても──
「私が二人⋯⋯いて良いのか?」
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