翌日、ベレスはメアト達に連れられて町の中を歩いていました。ベレスに必要な物を買いに行っているようです。
様々な理由と事情で外へ行きづらいベレスは、アミーの提案によって一番小さいサイズの兜と鎧を着せられていました。
日差しも抑えられて尚且つ民衆から素性を隠せたようですが、ガッシャガッシャと前を行くオニオンのように小さい騎士姿のベレスにはどうしても視線は避けられなかったようです。
民衆からの微笑ましい顔を向けられながら、ベレスたちは買い物を進めます。
まず、ベレスにぴったりの服をアミーが選び、あの貴族の息子が持っていた物に近しい、この世界の地図が記載された本をメアトとエミルで。
それらを買い終えて店の外へ出ると、一足先にベレスの背中の傷を治す薬草を買ってきてくれていたガンドゥと合流。
最後には全員でりんごを沢山買って帰りました。
四人の騎士は心の底からベレスに暖かく接してくれたのです。
買い物をしている途中、ベレスは色んな話を耳にしていました。
道行く者達は皆メアト達の事をよく知っているようで、誰であれ気兼ねなく話しかけていました。
しかしなんでもない話を交わす一方で、平和になった世界で鎧を着続ける意味を問う者もいました。
そんな問い掛けが出るたびに、メアトの顔は少し陰りを帯びて、それでも笑顔で応えているのをベレスはじっと見ていました。
平和になった世界、今日買った本を読めば分かるだろうかとベレスは考えます。
同時に、平和になった世界で魔族の自分が居る意味はなにか、そんな漠然とした疑問を抱くのでした。
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