目的の王国

――まだ二人の言葉が届く、全ての人へ。
凪子
凪子

11

公開日時: 2021年9月25日(土) 20:00
文字数:293

少年は頭をかいた。


肋骨ろっこつのあたり、打撲してたから治療した。サラシ巻いてたみたいだけど、呼吸しづらそうだったから外した」


少女は耳まで真っ赤になった。ひょいと机を飛びおりる。


近づくと、かなり身長差があった。


「脱がしたの?」


「……あのなあ」


「っきゃああああああーー!!!」


少女は自分をかき抱いて悲鳴を上げた。


「……そっちかよ」


と、少年は毒づいた。


命の危険のせまった非常事態で、悠長ゆうちょうなものだ。


それにしても――気のせいだろうか。頬を染めた顔が、誰かに似ているのは。


「変態!えっち!ばかっ!最低最低最低!」


少年は黙って少女が非難を浴びせかけるのを見つめていた。


―ー途方に暮れるとは、このことだった。




























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