少女がひとしきり叫び、落ちつくまで待ってから、少年は静かに切り出した。
「ここは危ない。迷い込んだら最後、二度と出られないと言われている、深い樹海なんだ。それに一応、ニュートリノ領だ。お前がアクシオン人だと知れたら殺される」
少女はベッドに腰かけ、神妙な顔をしている。
ようやく状況が飲みこめてきたのだろう。
「お前を、俺の屋敷に連れて行く。そこで身の振り方を決めればいい」
「あなただってニュートリノの人でしょう?私を殺さなくていいの?」
少女は今さらな質問を口にした。
「こっちにもいろいろと事情があるんだよ」
「尋問?」
「さあな」
少年の実家から、つい先ほど届いた指令だった。
少女は生かして、国主側にも悟られぬよう内密に連れてこい――と。
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