目的の王国

――まだ二人の言葉が届く、全ての人へ。
凪子
凪子

12

公開日時: 2021年9月26日(日) 20:00
文字数:313






少女がひとしきり叫び、落ちつくまで待ってから、少年は静かに切り出した。


「ここは危ない。迷い込んだら最後、二度と出られないと言われている、深い樹海なんだ。それに一応、ニュートリノ領だ。お前がアクシオン人だと知れたら殺される」



少女はベッドに腰かけ、神妙な顔をしている。


ようやく状況が飲みこめてきたのだろう。


「お前を、俺の屋敷に連れて行く。そこで身の振り方を決めればいい」


「あなただってニュートリノの人でしょう?私を殺さなくていいの?」


少女は今さらな質問を口にした。


「こっちにもいろいろと事情があるんだよ」


「尋問?」


「さあな」


少年の実家から、つい先ほど届いた指令だった。


少女は生かして、国主こくしゅ側にも悟られぬよう内密ないみつに連れてこい――と。


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