思案しながら歩いてきて、少年はふと足を止めた。
「……珍しい客人だな」
予測どおり、小屋のすぐそばに戦闘機は不時着していた。
木々にぶち当たったのか、機体は中央で無残にへし折れている。
乗り手は操縦桿を握り締めたまま、前方に頭を突っ伏していた。
漏れたガソリンの匂いが鼻をつく。
少年は、丸くカーブを描いて機尾は三つに分かれている、小さな一人乗りの機体に乗り込んだ。
操縦席についたときに手が触れて、乗り手のかぶっていた軍帽が外れて落ちる。
長い金髪が肩をすべり落ち、少年は目を見開いた。
吐息とも嘆息ともつかない息が漏れる。
おそるおそる眼球防護用の大きなゴーグルを外して確信した。
眠っているようなあどけない顔。色白の頬に、桜色の唇。
―ー国王直属のエリート空軍兵は、自分と同じ年頃の少女だった。
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