少年は自分の目を疑いつつも、ともかく少女を抱き起こす。
左腕の腕章に、双頭の龍の紋章が刻まれている。アクシオン王家を守護する最強の聖獣だ。
それすなわち、国王直属小隊・隊長の証。
「マジかよ」
冗談はやめてくれ、と少年はうめいた。
この少女は一体何者なのか。
青白い顔で気絶しているが、致命的な外傷はなさそうだ。
伏せられた睫毛が長く、体の線が細く、何より軽い。
おかげで少年は人一人抱えながらも、身軽に機体を飛び降りることができた。
女か。少年は思った。
女の敗残兵の末路は悲惨だ。死よりも先に、それに勝る屈辱が与えられる。他ならぬ敵の手によって――。
ゆえに、ニュートリノに女の兵士はいない。
アクシオンは女子供も、国のための戦いに平等に参加させようという考え方なのだろう。
お優しいことだ。少年は唇を噛み締めた。
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