目的の王国

――まだ二人の言葉が届く、全ての人へ。
凪子
凪子

6

公開日時: 2021年9月20日(月) 21:32
文字数:294

「あれは……!」


少年は、自分の目が信じられず、何度もまばたきを繰り返す。


墜落する戦闘機は、美しく均整の取れた白銀はくぎんの機体だった。


少年はすぐさま上着を羽織って小屋を出た。


雨は小雨こさめになっていたけれども、しびれるような冷気が肌を刺す。


その上、白い濃い霧があたりを覆っていた。


少年は舌打ちした。嫌な天気だ。


恐らく、すぐそこだ。戦闘機が墜落した方角に向かって、確実な足どりで進む。


この樹海じゅかいには凶暴きょうぼうな獣も多いが、そんなことは百も承知だ。


五年も前から、庭のようにして生活していたのだから。


墜落して間もないため、エンジンの稼動音がこちらまで聞こえてくる。


この湿気だ。機体は燃え上がってはいないだろうが……。

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