目的の王国

――まだ二人の言葉が届く、全ての人へ。
凪子
凪子

5

公開日時: 2021年9月19日(日) 20:00
文字数:270

アクシオンには、空軍とは別に王直属の小隊が四つ組まれているらしい。


ただし、それを見たものはいない。


正確に言うならば、その白銀はくぎんに輝く戦闘機を見て、生き残った者はいないということなのだろう。


どおん、と一際激しい爆発音が鳴り、鳥が舞い立つ羽音はおとが重なった。


少年は顔を上げた。


木枠にガラスをはめこんだだけの素っ気ない小窓を開け放つと、普段ならいるはずの野生動物の気配はほとんどなかった。


ここは樹海じゅかいだ。みな利口りこうに身をひそめているのだろう。


空を見て、少年は目をみはった。


戦闘機が一機、黒煙こくえんを上げ、ものすごいスピードで一直線に降下していく。


――墜落するのだ。

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