2026年6月27日 土曜日 PM21:00
肝試しライブ配信を行うために、明るい肝試しの油井、村田、後藤の3人は樋之池公園での心霊考察を行うために樋之池公園の入り口の付近でスマホの時計が21時になったと同時に撮影を開始し、進行役の村田が視聴者に向け挨拶を行い始めた。
「明るい肝試しを御覧の皆さん、こんばんわ。怪異蒐集家の村田です。今回ですね、事前にTikTokでも予告はさせて頂きましたが、久しぶりの関西、しかも関西のミステリースポットを探ろうということで兵庫県西宮市内にある樋之池公園にきています。因みにこの公園は樋之池市民憩いの場として市民プールもある、テニスコートもある、体育館もあったりとこの付近に住まれる西宮市民の方々にとっては無くてはならないレクリエーション施設の一つじゃないかなと思います。」
予め原稿に綴ってあった内容を読み切ったところで、一度深呼吸をした後に怪異譚についての説明を始めた。
「そんな公園でじゃあ一体何が怖いかとなると、ここには”手っちゃん”という都市伝説が存在しています。手っちゃんについてわかりやすく説明をさせて頂きますと、この公園には樋之池手っちゃんという手だけの幽霊が現れるとされ、公衆トイレに入ればたちまち複数の手に襲われるという噂があって、実はこの手だけの幽霊は夏休みに樋之池プールに行こうとした時に不幸にも事故に遭い亡くなり、手だけが見つかっていない子供の霊ではないかという話があります。こんな怖い話があります。樋之池プールで休んでいたら、プールサイドから小さな手が出てきて”おいで、おいで”と手招きをするので行ってみたが誰もおらず、帰りに足洗い場のシャワーの陰から再び”おいで、おいで”と再度手招きをされたので確認するも誰もいない。更衣室の影で”おいで、おいで”をしているので行ってみるとやはり誰もいない。最後に樋之池公園の公衆トイレの入り口で再び”おいで、おいで”と手招きをされたので向かった方向に入ってみると、個室のドアが一斉に開き、無数の小さな手が襲ってくるという。因みにこの現象は夏休みが終わりに近づく夕暮れ時に出ると言われ、子供達で賑わう公演だけにこの話を知っている者は、夕暮れ時に公衆トイレを振り返らないようにしているという。そこで手っちゃんが現れそうな時期とはだいぶずれてはいるが、手っちゃんに会いたくて東京から遥々やって来た!会えることを願って散策したいと思います!」
村田が意気揚々と話し込む姿を見た油井が村田に対し「手っちゃん、果たして会えたら良いなと思うが、噂が本当ならば大変なことになるよ。」と苦笑いをしつつ、「一応、事前に西宮に入って古くから住む地元の人からの情報は得た。まずこの樋之池公園は、昔は釣り堀だったらしく、苦楽園口から樋之池公園を通って市営住宅までの区間は野原で山の上に住む金持ちの乗馬の練習場だった、当時から寂しい場所としても知られ子供の行方不明などもあったとのことで、取材を受けてくれた方は”ひょっとすると子供の死体が埋められている上にプールを建てたのでは?”という貴重な話があって、その他にもこの手っちゃんの元ネタは古く樋之池がまだ未舗装で野池だった時代にまでさかのぼるとも言われるという話もあれば、自分が旅立った夏の日のプールの営業時間が終わる頃に手だけしか出さない、だから年齢や性別も男なのか女なのかわからないという書き込みもある。いずれにしろ、噂の信憑性を探ると同時に本当にそのようなことが起きるのか、あいにくプール内は立入禁止で眺めるだけで終わりそうだけど、でも樋之池ならば心霊検証を行うことが出来る。まもりだまやばけたんWARASHIなども使いながら、子供の霊が出るか出ないかを確認しよう。」と提案すると、村田は「そこまで前もってリサーチしていたのかよ。でも気になったのが寂しい場所だったからこそ子供の行方不明もあったという話だな。果たしてそれがどう手っちゃんと結びつくのか。その辺りも公園内をゆっくりと散策しながら調べてみようか。」と切り出すと、一同は樋之池公園の中へと入っていくことにした。
階段を上がっていくと、歩いていった先の右手のほうに池が見えてきたので、早速池の周辺を散策してみることにした。
油井が歩きながら「季節も季節なので、しかも夕暮れのプールって完全に夕暮れじゃないしね。」と歩きながら進んでゆくと、村田が「夜の21時過ぎ、流石に誰もいないだろうって踏んだけど、でも民家が近い公園ってだけにこの時間でも誰かしら人はいるな。」と語りながら進んでゆくと、油井が「手っちゃんの話にもう一度戻って心霊考察をしてみよう。ネットの情報では、夏休みの時期に敷地内にあるプールへ家族と遊ぶ目的で向かう道中で事故を起こしてしまい、その際に手だけが行方不明になってしまったという。事故で犠牲になった男の子の体は埋葬され成仏はされたというが、見つかっていない手だけが成仏できずに彷徨い続けているというのが噂の内容。心霊の噂との直接的な因果関係はないと思うが、2019年6月13日に樋之池公園の付近で保育指導のため歩道を10数人で歩いていた園児の列に車が突っ込み壁にぶつかって停車したという事故があり、亡くなった方はいないんだけども、6歳と5歳の女の子が撥ねられてしまい病院に搬送された結果、6歳の女の子は肩の骨を折る大怪我を負い5歳の女の子は軽い怪我だけで済んだというのがあったみたい。事故現場がこの公園から程近いということもあって、因果関係があってもおかしくないのでは?という話もあった。」と話すと、それを後方で聞いた後藤は「それはそれで因果関係はないと思う。噂では手だけが現るという話だし、そもそも性別も男の子なのか女の子なのかそれすら分からないという内容だった上に、YouTubeで投稿されている動画には”ここはプールなのか”の問いかけに対して、女の子の声らしき声で”うん”と返事をするシーンもあったけども、声の主が事故に遭われた女の子達かとなるとそうではないような気がする。何せたまたま近くを通りかかったところを不幸にも車が突っ込んでくるとは誰も予想だにしないことを生きているとはいえ、そのことを機に夏の夕暮れのプールにしか現れない理由が分からなくなってくる。」と返すと、後藤の意見を聞いた油井は「言われたらその通りだな。だとしたら、どうして夏の夕暮れ時にしか現れないと言い切れるのか。何かしらそれが言える根拠があるというのか。」と考え込んでいるうちに、目の前に公衆トイレが見えてきた。
思わず村田が「噂される公衆トイレはあそこに違いない。一先ず誰かいないか確認してくるよ。」と話しかけると、油井は「おっ、おう。誰かいないか確認していたら報告してほしい。」とお願いしたところで、村田だけが先に公衆トイレの中に誰かいないか確認のために男子トイレの中を恐る恐る覗き込んだ。
そして覗き込んだ結果を報告するために、油井と後藤が待つところにまで戻ってくると、村田は「男子トイレの中だけしか見れないけどさ、誰もいる様子はなかった。ドアは開きっぱなしでトイレットペーパーは誰か荒い使い方をしたのか、巻き切れていないんで床にだらーんと垂れている状態だった。だけど興味深いものがあった。見てほしい。」と話すと、検証のために早速3人で公衆トイレの男子トイレの中へと入っていくと一番最初に入った村田が小便器の上に人差し指で指し示しながら、油井と後藤に対して「これって何かあったってことだよね?」と訊ね始めると、油井が先に近づき壁に貼ってあるステッカーを読み始めた。
”眠れない つらい もう疲れた、、、(電話マーク)まずは相談してください”
油井がゆっくりとした口調で読み上げた内容に、後藤が「自殺防止のステッカーがあるってことは、女子トイレにもあるんじゃないか?見てくるし、ちょっと待っていてほしい。」と話した後に後藤ただ一人が女子トイレの中に入っていくと、大きな声で「誰かいますか?撮影中なんですけどもお邪魔して大丈夫ですか?」と呼びかけても返事がないことを確認した後に入り確認を行うと、再び油井と村田が待つ男子トイレへと戻ってくると、後藤は「女子トイレのほうが気が重い。扉は開けっぱなしだったけど、男子トイレと比較すると女子トイレのほうが出てきそうな雰囲気は圧倒的に醸し出しているのはそっちだな。勿論女子トイレのほうにも自殺防止のステッカーがあった。」と報告を行うと、三人で男子トイレを離れ女子トイレへと向かうと、油井が入ったと同時に何かを感じ取ったのか入り口の付近で立ち止まると、先頭の村田と後ろにいる後藤に対して「さっきちらっと、女の子がいたような、何だろう。そんな気配がちらっとした。ほんの一瞬だったからはっきりとは見ていないんだけど、でもはっきりと誰かがいた。それはさっきの男子トイレでも感じた事だった。このトイレの周辺を何かが歩き回っているんだよ。WARASHIの一言の真似じゃないけど、”トイレの中を歩き回っているなあ”という感じかな。だから男子、女子関係ないような気がするけども、でもここだけ妙に気の乱れを、出てきそうな雰囲気があるというのは間違いなく、さっきまで誰かがいたといえばいたかもしれないけども、残り香的なモノを凄く感じてしまいやすいな。」と力説すると、村田は油井と後藤に対して「二手に分かれて出てくるまで待ってみようじゃないか。撮影役の後藤は外で待機して、俺か油井、どちらかが女子トイレに行くか男子トイレに行くか決めよう。」と提案した途端に油井は「俺のほうが女子トイレに行く。別に女子トイレで盗撮がしたいとか、そういう変態的な思考じゃない。明らかにこちらのほうがいたような気配を感じる。それが分かるまで一人検証がしたい。だから村田は男子トイレの一人検証を行ってほしい。」と打診すると、村田は「油井がそう言うなら、うん。いいよ。」と返事を行ってから村田が男子トイレ、油井が女子トイレでの一人検証を開始することにした。
一人検証を行い始めてから、10分が経過。
特にこれと言って変化もなく、男子トイレで検証を行っていた村田は「男子トイレのこの圧迫された個室のこの空間でただ一人何かが出てくるのを待つってのもなあ。しっかし汚ねぇなあ!もっと公共の場なんだから綺麗に使おうとかそういう精神は無いのかな!?」と思わず愚痴をこぼしているその一方で女子トイレでの一人検証を行う油井が黙々と一人検証を行いながら、”何か”がいないかを確認するためにも、こまめに霊視を行ったりして個室の中を入っては出たりを繰り返し乍ら調べていた。
「自殺防止のためのステッカーがあった。ちゃんと西宮市のこころの相談の窓口の連絡先も記載があったということは、行政が自殺防止のために動いているという何よりの証拠でもあることから自殺が多かったのか?いやあの書き込みだけでは自殺が多いという書き込みはなく手だけの霊が出る。それだけだった。どういう関係性があるのか、報道規制がかかっているために報道されていないだけなのだろうか。」
言葉にしながら散策していると、油井が個室トイレを出た後に背後に気配を感じたのかちらっと後ろを振り返ると、思わず油井が「さっき誰か俺の後ろにいたような気配はあったけどな。てっきりトイレを利用したくてここに来たのなら、出て行かなきゃと思ったけど違ったなあ。流石にこんな時間に綺麗とは言い難い公衆トイレに行きたくなるほど緊急を要するってレベルじゃなかったらこんなトイレは利用したくないな。」と苦笑いしながら話すと、更に検証は続く。
20分が経過。
トイレの入り口付近でじっと待機していた後藤がしきりに池のほうを気にしながら外で公衆トイレの様子を撮影していると、一人検証を行い始めてから30分が経過したところで後藤が一人検証を行う油井と村田の二人に対して「そろそろ終わりにしないか。公共の場でもあるわけだし、長々と俺達が独占するわけにはいかない。」と呼びかけると、村田は「わかった。出てくる。」と呼びかけに返事して早々と出てくると呼びかけに対し油井は出てくる気配もなかったために致し方なく後藤が「研究熱心すぎるのは油井のいいところかもしれないが、でも時と場を見極めて行動できる冷静さも併せ持ってほしいんだけどなあ。」と諭すように油井に対し話しかけると、油井は「わかっている、わかっている。出るつもりだった。」と答えて女子トイレの外へと出たところで、村田は「ところでまだ行けていなかったけど、地図アプリで見ると市民プールへと出る階段があって、設けられた橋からもプールの様子を眺めることが出来るみたいだね。樋之池はこれといって、出てきそうな雰囲気こそは醸し出してはいただけで終わっていたから、一先ず本題のプールを見ることにしよう。」と語ると三人は市民プールがある方角へと向け移動することにした。
そして本題のプールの入り口へと辿り着いたところで、村田が「流石にこの時期。プール開きをしていても、営業時間外だから立入禁止は当然だな。検証のために入って不法侵入になるのは嫌だからね。」と話すと、油井は「当り前だよ!俺達は外からできる限りプールの様子を伺うことしかできないからな!」と話すと、村田は柵越しにまずは子供用のプールを注意深く懐中電灯のライトを照らしながら確認し始めると、「特にこれといって出るような気配は感じられないな。」と語る一方、隣で注意深く霊視を行う油井も「水場ならではの、これから昇天される霊達が一休みをする場所になっているかとなると、そういうわけではなさそう。」と話すと、油井の意見を聞いた後藤は「逆にその霊が集まりやすい水場の条件を満たすとしたら、山にあるダムとか滝とかが該当するんじゃないの?こんな町中にある市民プールで昇天されゆくにしても、火葬場がこの付近にあるわけでもないんだし、これから旅立とうとする幽霊が一休みをする場所とは考えにくい。だからほかに要因があると思う。」と意見すると村田は「だとしたらこのプールでかつて手だけが見つからない水難事故があったとでもいうのか?」と話すと、それを聞いた油井は「その可能性は皆無に等しい。子供用のプールにしても大人用のプールにしても巨大なスクリューに巻き込まれたとしても手だけが見つからないなんてことは有り得ないし、そもそもこんなちっちゃな市民プールでそれだけ大規模な機械を使う必要性は無いでしょ。」と突っ込むと、二人のやり取りをじっと聞いて居た後藤がある可能性を思いついた。
「村田が話してくれた『樋之池プールで休んでいたら、プールサイドから小さな手が出てきて”おいで、おいで”と手招きをするので行ってみたが誰もおらず、帰りに足洗い場のシャワーの陰から再び”おいで、おいで”と再度手招きをされたので確認するも誰もいない。更衣室の影で”おいで、おいで”をしているので行ってみるとやはり誰もいない。最後に樋之池公園の公衆トイレの入り口で再び”おいで、おいで”と手招きをされたので向かった方向に入ってみると、個室のドアが一斉に開き、無数の小さな手が襲ってくるという。因みにこの現象は夏休みが終わりに近づく夕暮れ時に出ると言われ、子供達で賑わう公演だけにこの話を知っている者は、夕暮れ時に公衆トイレを振り返らないようにしているという。』噂について、恐らくこの樋之池プールとされるのは子供用じゃない、それにこんな付近で事故に遭った子供が死んだ今もなおプールに入りたいという残留思念から見つからぬ手だけが彷徨い続けるという噂が成り立つように、もっと純粋な気持ちになって他に理由があると思う。」と語ると、後藤の見解を聞いた村田は後藤に対して「だったらどうして手だけの霊が出るという噂が出回ったんだ?だって交通事故にしても亡くなって手だけが見つからないも普通に考えて有り得ないわけだし、プールでの水難事故でそのような事例が起きたとも考えられないとすると、他に理由はあるのか?」と思ったことを口にすると、油井は後藤と村田に対して「二人のやり取りをじっくりと頷きながら聞いていてある可能性が出た。事故はない。それは間違いなく、仮にもしどのような事情があるにしても、手だけが見つからないことは絶対にありえない。それは都市伝説の類の一つと見て間違いはないだろうが、こう見た。夏の夕暮れ、プールの営業時間がもうそろそろ終わりそうだという。プールに近づくまでにあったプールの入り口の案内板には、営業時間が朝の10時から18時まで、最終入場が出来るのが17時30分までともあったから、ひょっとするとこの時間帯に子供が友達を連れて遊びに行こうとして入ろうとしたけどもプールに入ることが出来なかったから、大人になっても”あのとき入りたかった”という思いが後悔の念となって手だけ現るとは考えにくいし。」と話すと、油井なりの意見を聞いた後藤は「だとしたら霊能力のある人が見た生霊ってことになるじゃん。しかも手だけ、どうやって入ってもいないプールに、小さな手が出てきたのを目撃するというんだ?黙々とプールを独占したかったとでも言いたいのか?子供ながらに、そんな思考はまず考えられない。」と話した後に、後藤は自身の思い出話を振り返りながら「こうとも考えられる。明るい時間帯に子供達でワイワイ賑やかに友達と夕遅くまでプールで遊んでいると営業時間の18時に近づいたことを物惜しみ、”まだまだ遊びたかった”という楽しい思い出がたとえ子供の時の思い出であったとしても、”もう少し友達と長い間プールで遊びたかった”その楽しかった時の思い出を振り返れば振り替える程、本人の意思とは関係なく楽しい思い出を過ごした場所に魂だけが訪れるのかもしれない。ほら、俺達の子供だった頃にもあったと思うけどさ、俺の場合は営業時間ギリギリになってプールの監視員のお兄さんが”もう18時だから早くプールから出てきなさい”って言われて駄々をこねて反抗してやろうと思ったけども、監視員のお兄さんがプールにまで入ってきて幼き俺に”時間だから出てきなさい”って言われてプールから出されてブーブー納得のいかない気持ちを抱きながらもプールを後にしたって思い出が個人的にはあって、ひょっとすると手だけが出てくるというのも俺みたいな思いを幼少期に体験した人が大人になっても”あの時が楽しかった”って働きながらふと楽しい思い出を思い返したりしているときに、残留思念として遺ってしまうものなのかもしれない。」と話し終えると、後藤の話を最後まで聞いた油井はハッとした表情になって「そうか。だとしたら手っちゃんの正体は、遊び足りなかった子供だった頃の思い出が甦っただけなのかもしれない!だから男の子なのか女の子なのかそれすらわからないという理由も頷ける。」と話すと、橋の方向へと移動してそこから眺めることが出来る大人用のプールを眺めると、村田も後藤も油井の後を追うようにして橋のほうへと向かうと、改めて橋の上から眺めるプールをじっと見つめると村田が「後藤が話していた話が、一番最も当てはまるかもしれない。子供用のプールだろうって思いこんだけども、あのプールの浅さから見ても親が同伴して子供が遊んでいる感じのプールだったから、噂が起こり得るとしたらやはり奥の大人用のプールと考えるのが筋だろう。それならばまだ子供同士で遊びに来て、もっと遊びたかったのに時間が来たから納得のいかぬまま帰ってきたことが大人になっても後悔の念として遺ってもおかしくないな。」と三人の間で結論づいたところで、樋之池公園の入り口にまで来たところで、村田が最後の挨拶を行った。
「最後まで見て下さりありがとうございました。今回は訳があって収録のみでライブ中継ではなかったんですけども、今回も目立つような子供の声が聞こえてきたり、というのはなかったのですが、それなりに良い雰囲気のある公園でした。最恐を求める視聴者の皆さんにとっては物足りない内容だったのかもしれませんが、ここはどちらかといいますと肝試しの初心者向けとも言うべき場所じゃないかと思います。僕達が公衆トイレの中で見つけてきた自殺防止のためのステッカーも、トイレ内で自殺はしやすい環境であることは間違いないのですが、ただ樋之池公園の怪異譚に自殺者の霊が出るという話も無ければ、報道規制もあるので、こんなところで命を絶とうとする人がもしいたとしたらそれは少数派に限られてくるし、この世への恨み辛みを持ち彷徨っている可能性は油井が熱心に霊視を行ってはくれたんだけども、”出てきそうな雰囲気があるだけで、自殺者の霊が見せるサインの兆候がないために事件があったことには間違いないだろうが、これ以上騒がれるのを望んでいないと言いますか、訪れた人に対して避ける傾向が非常に強く感じるとも油井は話していました。手っちゃんの正体も掴めたところで樋之池公園での肝試し心霊考察を終了させたいと思います。最後まで動画を見て下さりありがとうございました!」と深々に挨拶をしたところで撮影を終了させて、次のロケ地である西宮市内にある弁天池へ移動するために車を駐車させておいたコインパーキングへと戻ってきた。時間は夜の22時30分を迎えており、村田が「弁天池での撮影は、23時からのスタートでどうだろうか?」と提案すると、それを聞いた油井は「ここから車だと10分ぐらいで到着するし、撮影を行うまでに軽い打ち合わせをしてから弁天池へと向かいますか。」と改めて指示を出したところで、三人は樋之池公園を後にすることにした。
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