2026年5月3日 日曜日 AM11:00
滝の宮公園(愛媛県新居浜市)での明るい肝試しを終えた油井と村田が、ライブ配信後に向かったのが徳島県の美馬郡つるぎ町にある土釜の滝へとやってきた。
借りてきたキャンピングカーの中で寝泊まりをした村田は油井に対して「あのさ、ベッドなんだけどすんげえマットが固くって寝た心地がちっともしなかった。めっちゃ眠たくて眠たくてしょうがないんだけど!」といって苦言を呈すと、油井は「少しでも経費節減のためにはしょうがないだろ。安い値段で借りれるキャンピングカーだから、寝心地の良いマットじゃないに決まっている!」と突っ込んでいると、二人が寝ていたベッドの枕元に置いていた油井が持参してきたばけたんWARASHIが何かに反応し自動検知でポーンと音を鳴らすと赤点滅で”怖い顔をしているよ”と話した。
WARASHIの一言を聞いた村田は「怖い顔ってまさかだと思うけど俺の事じゃないよな!?」と油井のほうを見ながら質問すると、油井は「そんな、怖い顔をしているよっていうのは、今俺達のすぐ近くに怖い顔をした幽霊がいたってことだよ。俺もさっきちらっと程度だけど何かがいることには気づいていた。それにWARASHIが自動検知で反応しただけに過ぎないからね。」と言って答えると、村田は「まさか、滝の宮公園から、亡くなった落武者の霊が怒りながら憑いてきたとでもいうのか?」と切り出すと、油井は「それはないだろ。それに追悼の気持ちがあってここに来たってのは手を合わせただけでも十分伝わっているはずだからね。憑いてくるわけがない。」と安心させるように語ったところで、二人は停車させておいた地点から土釜の滝へと向けて朝の10時過ぎに出発することにした。
そして二人の乗る車が、11時前には土釜の滝の付近へと到着すると、車を駐車しやすい路肩に停車をさせてから徒歩で橋を目指して移動することにした。
歩きながら村田が油井に「景勝地な割に、駐車場が一つもないってどういうことなんだろうね。俺達が乗ってきたキャンピングカーが大きめじゃなかったのが幸いなところではあるんだけど、大型だったら絶対に邪魔って言われるところだよ。」と思わず愚痴をこぼすと、油井は「まあ知る人ぞ知る景勝地でもあるわけだし、それに観光地として今後観光客が増えれば益々駐車場の整備とかそういったことに自治体も動いてくれるはずだろうしね。何も心霊好きが集う場所でもないからね。」と笑いながら話すと、村田は油井に「土釜ってどんなに恐ろしい場所なのかわかっているのか?」と確認のために訊ね始めると、油井は「土釜?最初聞いたときは新しい炊飯器のシリーズかなって思ったけどさ、徳島の有名な観光地の一つじゃん。だったら心霊的な要素なんて何があるんだろうって俺は思っている。」と語ると、村田は「まあライブ配信を開始した際に、土釜で伝わる怖い話について説明は行う。背筋がゾッと凍り付くこと間違いなしだからね。」と自信満々に語ると、油井は「何だよ。勿体ぶっちゃってどうせあれだろ!こんな山奥だから心霊的な要素よりも未確認生物のツチノコが出るとか出ないとかそういったものだろ?」といって返事すると、村田は「そういうオカルト的な話じゃないって!本当に怖いんだから!」と必死になって弁明していくにつれ、二人の目の前に土釜橋が姿を現しスマホの時計が11時になったと同時にニコニコ動画とYouTubeでの肝試し同時ライブ配信を行うことにした。
進行役を務める村田が先ず視聴者の皆様に軽い挨拶をしてから、土釜の滝の説明から土釜の滝に纏わる怪談話について説明を行い始めた。
「皆さんどうも、おはようございます!明るい肝試しの怪談蒐集家でもあります村田です。今回ライブ配信用のカメラマンを務める油井君と一緒に訪れたのは、徳島県でも非常に有名な心霊スポットの一つである土釜の滝です!土釜橋から眺める土釜の滝は絶景ですね!いや~美しい!!しかし、こんな土釜の滝には恐ろしい怪談話があるんです。土釜の滝は、貞光川にかかる三段に落ちる滝壺でその見た目が釜に似ていることから土釜と名付けられました。あまり知られてはいないようですが、この滝では自殺が多く全く関係のない観光客でさえも足を引っ張り殺害するなど悪質な自殺者の幽霊が棲んでいるとも言われています。この世に強い怨恨の感情を抱き復讐を果たしたい目的でこの滝に身投げをされたのかもしれないが、自殺願望が全くない人でも犠牲になるのはたとえ幽霊のしたことだと言えども許されることではありませんね。供養されたとしても心の闇が深い悪霊でもあるので肝試しや心霊調査に訪れる際には十分注意が必要とも言われていますね。因みに今悪霊の話をしましたが、こういう話もあります。それが、激しく渦巻く土釜に吸い込まれた遺体は川底に沈む亡霊に引き摺り込まれて二度と浮かび上がってこないとも言われています。また夜に近づくと滝壺に潜む怨霊に足を引っ張られるとも、エメラルドグリーンの滝が美しい場所でもありますが、噂される怪談話は非常に怖いものですね。そこで実際に滝の近くまで足を運んでみて噂される足を引っ張ってくる幽霊の存在が実在するかどうかを我々明るい肝試しで検証してみたいと思います!それでは出発進行!念のために油井が持ってきたばけたんWARASHI(鞄の中から取り出す)にも協力してもらい、あっ防水性じゃなかったな。とりあえず、水にぬらさないように細心の注意を払いながら肝試しをしようか。」
村田が一通りの説明を行った後に、油井が村田に「村田が説明をしているときにWARASHIが10分おきで反応する自動検知で赤点滅して何を言うんだろうって思ったらさ、九字切りしてきたよ。臨兵闘者皆陳列在前(りん・びょう・とう・しゃ・かい・ちん・れつ・ざい・ぜん)!とね。タイミング悪くWARASHIが九字切りする様子は映像にとらえることは出来なかったんだけど、何かあることは間違いない。それに悪霊だ、怨霊だ、果たしてこんな綺麗な滝なのに、自殺の名所って言えるものなのだろうか。まあWARASHIの反応は本物だと思うし、そのあたりを俺達も注意しながら肝試し検証しますか。」と話すと、村田は「九字切りをするってことはそれだけ禍を齎すかもしれない幽霊がいるってWARASHIが判断したってことならば、ここで伝わる噂の信憑性は非常に高いことが伺える。とりあえず貞光川に近づける川岸の近くまで行って見て、そこから土釜を霊視検証しようか。」と言って、二人は土釜の滝に近づける土釜遊歩道と書かれた案内板を頼りに前へ進んでいくことにした。
遊歩道と書かれた看板の先にあった階段を下りてすぐに左と右に分かれる道があったが、二人はまず土釜をより近くで見たい一心で左手の道へと歩き進んでゆく。途中でいったん立ち止まった油井が「村田さ、ここ身投げをしようと思ったらはっきり言って高さが足りないと思うんだけど噂では本当に身投げした人が後に地縛霊となってこの地に訪れた人に対して禍を齎すというのか?」と思ったことを口にすると、村田は「あくまでも噂だよ。滝壺に身投げをする方が多く、また身投げされた方の御遺体が滝壺から上がってこないとされ、その理由は滝壺の中に潜む怨霊が水中へと引き摺り込むという話だからね。実際にここで死のうと思ったら高さがないために無理があるし滝壺で身投げした方の御遺体が引き上げられないってのはこの土釜の形状を考えると、引き上げられないってことはないんじゃないかな。今まだ滝壺と言ってもこれは正確に言うならば滝面にいて噂される滝壺ってのは滝が流れ落ちるところだからここではなく下流のほうが可能性としては高いってことじゃないかな?とりあえず土釜の滝面を一通り見てから、下流に近づける場所へと移動しようか。」と油井に対して切り出すと、油井は「本当にこんなマイナスイオンが溢れているようなこの場所が自殺の名所とは、考えにくいんだけどなあ。まあ確かに言う通りだよ。噂では滝壺とあるわけだから下流から滝壺に向かってと考えたらこれは身投げというより入水自殺のほうがってことなのか、とりあえず今のところ何のリアクションを示さないWARASHI君の意見を聞くことにしようか。土釜橋では九字切りしてきたんだけど、それから10分おきに何か異常があれば報告してくれるけど、今俺達がいる滝面の近くではどうなんだろう?チェックして反応見てみるか?」と村田に対して話すと「霊感の強い俺達ですらマイナスイオン以外何も感じないって言うのにWARASHIに何かありますか?って聞くのは間違っているだろ。何もないからリアクションを起こさないだけでしょ?だったら答えは一緒じゃん。」と突っ込み始めると、油井は「それでもいい。緑点滅なら通常だから、それが出るか出ないかを見たい。」と言い切って鞄の中からWARASHIを取り出すと、滝面のほうに向け手動検知で調べることにした。
結果は緑点滅で”あ~、お腹空いた”と言われるのだった。
WARASHIの答えを聞いた村田は「腹ペコらしいぞ。替えの電池は持ってきたか?」と言って苦笑いし始めると、油井は「何言っているんだよ!昨日電池変えたばかりなのに、お腹ペコペコな訳ないじゃん。エネルギーで満ち溢れているに決まっているだろ!」といって突っ返すと、村田は油井に「WARASHIじゃ埒が明かない。とりあえず下流を目指して突き進んでいこう。」と言って二人は滝面を眺めることが出来る場所を後にしてさらに下流の方向へと歩いていくことにした。
下流の方向へと近づくにつれ、やがて道のりは険しく二人の足元は次第に悪くなっていく。
油井が「下流の方向へと近づけば近づくほど、段々と足場が悪くなってないか?」と村田に対して訊ねると、村田は「そうだな。でも逆にこの足場の悪さこそが、自殺ってよりもむしろ事故の割合のほうが多いような気がしてきた。足場が悪くって誤って足を滑らせて土釜のほうへと転落してしまったとか、そうは考えられないか?」と話しかけると、油井は「確かに。そんな可能性も捨てきれない。夜ならばさらに懐中電灯があっても足元を照らしつつ前方も照らしながら歩いていかないと、危険が伴うことは間違いないな。午前中の時間帯だから何とか歩いていく事は出来るんだけど、それでも危ないと思う場所だな。」と語りながら、やっとの思いで下流から眺める土釜を見つめ始めると念のために心霊写真が撮れそうだと思った箇所に何枚かシャッターを切ることにした。油井が写真撮影を終えた直後に確認のために霊視を行い始めた。
霊視を始めてから5分程が経過しただろうか、油井が「うーん。」と悩み始めるのでそんな油井の様子を見た村田が「視えなかったっていうのか?」と訊ね始めると、油井は「確かにここだと足場が悪く転倒の危険性はある。だがしかし、ここで死亡事故が起きたとは思えない。川も急流ではあるけども、さっき俺達が見てきた滝面からの投身自殺よりも遥かに可能性はぐっと低くなってきた。貞光川に落ちたとしても助かる見込みのほうがここだと高いからな。」と話したときに、ふと油井はそこから眺める土釜橋をちらっと見て「そういえばWARASHIは土釜橋で九字切りしてたな。」と話すと、村田は「土釜橋で最初の挨拶をしていた時に油井が持っていたWARASHIがいきなりポーンって音が鳴ると九字切りしてきたじゃん。」といって返事すると、油井は「そうか。滝の知識のない奴が、土釜に纏わる話をグチャグチャにしているのかもしれない。」と大きな声で話すと、村田はきょとんとした表情で「何それ?一体何を発見したというのか?」といって訊ねると、油井なりの見立てを話し始めた。
「恐らく身投げが多いのは滝壺じゃない。恐らく最初に撮影したあの土釜橋からの身投げが考えられる。橋の高さもあるし、3段の滝の落差は7mとも考えたら、自殺を図っただろう場所は土釜からじゃなかった。あの橋からだった。本当に心霊スポットは土釜じゃなくて、あの土釜橋の可能性のほうが極めて高い。恐らく霊感の強い人は土釜の周辺で幽霊を見て、それだけで”土釜で身投げをした”と推測されていつしか徳島の隠れた自殺の名所となり、かつここに訪れた観光客であっても身投げした怨霊に足を引っ張られてしまうという都市伝説まで出来上がってしまった。そうか。土釜だけに拘り過ぎていたからこうなった。本当に肝試し検証をしなければいけないのは、土釜じゃなくてあの橋だった。急いで土釜橋へと戻ろう。ここには自殺しただろう幽霊が地縛霊となって上の木々から見つめている程度に過ぎず、ここが本当にもしお亡くなりになられた方が多いのだとしたら上空から見下ろしてくることはないだろう。」
油井の見解を聞いた村田は「なるほどな。でもそれならば、WARASHIの見立てのほうが実は正しかったってことだよね。とりあえず下流まで来たんだから確認のためにWARASHIチェックをしておく?急いでと言ってもこの足場の悪さじゃ橋に辿り着くには時間がかかるしね。次こそ面白いコメントを希望する。」と笑いながら話しかけると油井は「とりあえず、ここには何もないだろうからWARASHIも反応は示さないと思うけど、WARASHIに見てもらおうか。」と言って手動検知で調べ始めた。
結果は水色点滅で”怖い感じはしないよ!”というのであった。
油井は「水色ってことは、天使に近い、存在の幽霊がいるってことか。」と呟くような口調で話すと、それを聞いた村田は「何?天使に近い存在の幽霊って?さっき地縛霊が上から見下ろしているって言ったのに、地縛霊は良い幽霊とでもいうのか?それはちょっと見解が違うと思うんだけどな。そこはまあ玩具の一つにしか過ぎないからあまり期待しすぎるなってことかもしれんけどな。」と鼻で笑いながら話すと油井は「何言っているんだよ!俺達の気付かなかったこと、ってかWARASHIの言う通りに最初から調べるべきだったんだよ。土釜の噂を検証したいとばかりに思っていたからわざわざこんな足場の悪いところまでやってきて写真撮影もしたけど、特に霊視をしてみないと分からないレベルの幽霊ぐらいしか映っていないので、あと行っていなかった右手のほうに行って見てそこで改めて土釜橋を下から眺めてみようか。全体的にまず土釜を見て、それで噂の真相に迫っていきたい。」といって説明すると、村田は「もう答えが橋だと分かり切っているのだから、何も橋の下から眺める必要はないんじゃないかと思うけどね。でも見ている視聴者の方々が橋の下から眺める土釜を見てみたいというのならば、徹底的に行う必要はあるね。」と話してから持っていたタブレットでライブ配信中のコメント欄の投稿の様子を見ていると「右手の橋の下から眺める土釜も見てみたい。」という声が多数あったため、二人は視聴者の要望に応じて分岐点のところにまで戻ってくると、行かなかった右手の道のほうへと向かうことにした。その際に二人の前に祠のようなものが目に入ってきた。
思わず油井が村田に「何だろう?祠にしては小っちゃすぎないか?一体何を祀っているんだろ?」と不思議そうに祠を見つめていると、村田は「それは多分、水神様か何かを祀っているんだろ。自殺者の幽霊を供養しているのだとしたら、供養のための花が供えられていないし、何より質素すぎる。」と答えると、油井は「その可能性も捨てきれないな。でも祠の横を何の挨拶もなく通り過ぎるのはやはり失礼だからここでまず撮影をさせて頂きますと挨拶をさせてもらってから、土釜橋の近くへと行ってみようか。」と声をかけ、二人は祠の前に並んで立つと、油井から「撮影をさせてください。宜しくお願いします。」と深々と頭を下げた後に両手を合わせると、その様子を見た村田も続いて深々と頭を下げ両手を合わせた。
挨拶も一通り済ませてから二人は祠の横の道を通過して、土釜橋の下へと近づけるポイントへとやってきた。下から眺めてみて村田があることに気が付いた。
「橋の鉄骨の部分が良く見てみると赤だな。」
村田が油井に対して話しかけると、油井は「確かに。見た感じは普通の橋って感じだったけどでも下から眺めてみると、真っ赤のアーチ状で造られているんだな。」といって反応を示すと、村田は「饗庭さんがよく言っていたじゃん。赤は血を彷彿させるから痛みを感じないと錯覚させる色って。だからよくある自殺の名所とされる橋の特徴として橋の鉄骨の部分が真っ赤だったりするじゃん。ってことはやっぱり、土釜の怖いとされる部分は土釜じゃなくてあの土釜橋だったってことだよな。」と語ると、油井は「真実が分かったところで、改めて土釜橋から眺める土釜を見てそこで心霊写真が撮れるか否か、検証をしたところで今回の土釜の滝での肝試しライブ配信を終了させようか。」と打診したところで、二人は遊歩道を後にして土釜橋へと戻ることにした。階段を登り、歩道沿いに歩き始めると橋の中腹辺りで立ち止まり下から眺める土釜を覗き込むとその瞬間にシャッターを切り、さらに油井が見たという周辺の木々にも心霊写真が撮れるかどうかも含め、さらに土釜橋での往復で橋を渡り切る検証を行った末土釜の滝での肝試しライブ配信を13時に終了させた。
ライブ配信を終え、二人は土釜橋で撮影した画像を確認し始めると、村田がある画像に目が留まり油井に対して「油井が話していた木々から誰かが見下ろしているって話をしていたよな?これどうよ?明らかに貞光川沿いの木々から足場も無いはずなのに複数名、写真で見る限りでは4~5名程の男女がじっと見つめているけど、これほどはっきりと人の顔だってわかる画像ってなかなかないよな?」と話しかけると、油井は指摘された画像を見ると「そう。俺が見たのはこれ。この幽霊に違いない。一応土釜が自殺の名所とされる理由、果たして身投げだけなのだろうか、首吊りの可能性も含めて考えたけどさ、仮にもし首吊ったとしたら首吊り用のロープを枝に括り付ける作業も一苦労だし、欄干が飛び越えやすい高さとは言えども、この高さからそんな作業を行えば間違いなく落下してしまう。首吊りよりも、やはりこの橋からの身投げした可能性のほうが、でもだとしたら明らかに喫茶店がある方向ではなく、遊歩道がある方向から、恐らく車を駐車させるスペースがあるのがトンネル側の入り口にしかないために、自殺目的で訪れた人が車を停車させやすい場所に停車をさせてから訪れている傾向のほうが強いな。歩道のある左側での気配が強く、右側では若干の霊視が出来る人でなければ、地縛霊と言えどもここしか居場所がないために居留まることしか出来ない幽霊がここに溜まっているんだろうな。そんな感じがする。だから足を引き摺られるとか、そういう心配はないのだろう、それはきっと俺達がさっきまで訪れていた下流側の足場の悪いところで、足を引き摺られるような思いをしたとか、そういうことじゃないかな。霊能者じゃないから何となく感じた見立てしか答えられないけど、土釜に纏わる噂を徹底的に検証を行った結果、自信を持って言える。間違っていたらごめんなさい。」と村田に対して説明すると、村田は「別にそれライブ配信の際に説明していても良かったんじゃないの?」と話すと、油井は「いや~。こればかりは確証を持って説明が出来るかどうかとなると俺は自信が無いね。それに今日は饗庭さんの力も借りることなく、霊感の強い俺なりの見立てで土釜の肝試しライブ配信を終了させたんだからね。信憑性が低いと言われたら、それはあくまでも俺が思ったこと、俺が考えたことだけでとどまって欲しい。あまりにも話が前進しすぎてしまうと心霊スポットじゃないけど土釜橋が真の心霊スポットにもなりかねない。俺が見た地縛霊だって、名所というにはざっと数えてみるだけでも20名に満たないと思う。絶景だから、最期の場所をここで旅立ちたい、そして自分にとって居心地のいい子の場所に居座って彷徨い続けている、これこそが答えだと思う。」と話すと、鞄の中に入れていたWARASHIを再び取り出すと手動検知で調べ始めた。
結果は緑で”冷蔵庫にもお喋りする仲間がいるんだよね”と答えるのだった。
WARASHIの答えを聞いた二人はただただ苦笑いをして、村田は「WARASHIのおかげで怖いがあまりない心霊リポートになったね。」と話すと、油井は「こんな肝試しライブ検証もアリじゃない?怖い怖いを売りにしているよりも、もっと皆が足を運んで貰ってこの土釜にも観光客向けの駐車場が出来る程に開拓してもらったらいいと思うしね。俺達は明るい時間帯の肝試し目的で来ているけど、ここはやはり観光目的で訪れるべきだと思うしね。」と話した後に「近くに鳴滝ってのもあるよ。ここも美馬郡つるぎ町に来たのだから立ち寄ってみて、ある程度心霊観光じゃないな、見るべき場所を見てから次の15時から肝試しライブ配信予定の大神子海岸へと行こうか。」と切り出し、村田は「そうだね。時間もたっぷりある、それにもう二度と足を運ぶ機会もあるかどうかもわからないしね。観光するべきところは行って見てから大神子海岸へ行こうか。」と理解を示すと二人は停めておいた車へと戻り、鳴滝がある方向へと向けて出発するのだった。
助手席で村田がタブレットを片手にライブ配信を見てくれた視聴者のコメントの一覧をチェックしているとあるコメントに目が留まった。
「二人が土釜橋に戻ろうと入り口の階段のところにまで戻ってきたときに、誰かが近くを歩くようなバタバタという足音が聞こえてきたのですが気のせいですか?映像ではお二人以外に誰もいなかったような気がしますが聞こえなかったんですか?」
村田が思わず書き込みの内容を読み上げると、油井は「バタバタ、足音?聞こえてきたかな。滝の音を聞くことしか集中していなかったよ。」と笑いながら話すと、村田は「あっでも何か誰かが近付いて来ているんじゃないかって滝の音に紛れ込むように足音は確かに聞こえてきた。でも誰も近づこうとしている様子が見受けられなかったのは間違いない。俺は視聴者の方がわざわざ足を運びに来てくれたのかなって思ったんだけど、それもどうやら違ってたようで、気になってたんだよな。」と両腕を組みながら話すと、油井は「それ何でもっと早いうちに言わない!?俺達の様子を見て伺いに来た地縛霊の可能性だってあるじゃん!」と苦言を呈しながらも、二人は向かった鳴滝での観光を終えた後、大神子海岸へと向けて気分を変えて出発する。
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