フラれたよ。十七人どころか百人切り達成しちゃったよ。まぁバッサリ切り捨て御免されたのは僕の方なわけだけども。
途中告白した女の子の彼氏を名乗る男に殺されそうになるというアクシデントが発生したが、どうにか十分間耐え抜いてこと無しを得た。むしろ恥を捨てて教師にすら手を伸ばしたものの、ことごとく全滅だったということの方がが何よりもアクシデントである。
完全にブロークンマイハートだ。というわけで僕の心は今ささくれ立っている。
今なら死んでもループは起こるのか検証できるかもしれないレベルで心が荒んでいる。しかし一時の気分で死ぬのはどうかと思う。
そこで、代行案として、そんなささくれ立った心の欲求に従って、盗んだバイクで走り出すことにした。ストレス解消には持ってこいだろう。
素手で松永先生の車を叩き壊すというのも考えたが、手や足が痛みそうなので断念した。
僕は今、白い原付のハンドルを握っている。社会への反抗心を表す為ノーヘルである。しかし何故田舎の奴らはこうも鍵を差しっぱなしにするのだろうか。松永先生に至っては高級車だぞ。流石に鍵はちゃんとかけろよ。つーか通勤に使うな。
心の中で松永先生の悪態つきながら、盗んだバイク(原付)をぶるんぶるんと吹かせて、ゆっくり発進した。いやスピード出すのは怖いよね。バイクって事故した時の死亡率が自動車の比じゃないらしいし。
死んでもループはされるのかが分からない以上安全運転を心がけた。
それでもバイクには乗るあたり、僕もループの中で現実感、危機感、色々と麻痺してきているらしい。
「パラリラパラリラー。風は気持ちいいけども。」
気持ち良いんだけども。……原付で安全運転すると、速度ほぼ自転車とかわんねぇのな。
高校生でも原付の免許は取得できるらしいがもちろん僕は無免許運転だ。しかし実際乗ってみたものの、僕は自転車で十分かもしれない。
そりゃこれだけチンタラしてれば後ろの車がイライラするのは必然だ。
結果、ストレス解消の引き換えに、背後からのあおり運転の恐怖を思い知ることとなった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!