僕は休み時間、星野先生が教室を出て行ったのを確認して黒板へと向かった。
もったいないお化けの精神を胸に、もはや棒というよりは丸に近くなったちんちくりんなチョークを選んでカキカキと黒板に絵を描いていく。
タイムループするから新品のチョークを使っても元に戻るのだけど、なんか新品のチョークって使い難いのだ。折れたら気分が沈むし。
後ろがざわざわとしているのでちらりと後方を確認すると、クラスのみんなが僕の方を見ていた。
ヒソヒソと話していたり、顔を赤くしたり、爆笑していたり、反応はそれぞれである。中でも爆笑している奴は2人だけという中々にレアな反応で、一人は加賀恵だった。ちなみに加藤菜々子は顔を赤らめる方の反応だった。正直意外である。
僕はバンッと教卓を叩いて十二分に注目を集めた。
そして教材として書いた絵をコンコンと手の甲で叩いて示す。
「これがいわゆる男性器。そしてこれが女性器。女には穴ぼこがあり、男にはでっぱりがついていた。なら後は何をするかは自明の理。そうハメ」「いやぁぁぁぁっ!」
子供がどうやって出来るのかについてを講義しようとしたところ一人の女子にぶん殴られた。確か彼女はクラスの委員長だった気がする。
彼女はコウノトリが赤ちゃんを運んできて云々の嘘の方が好みだったのだろうか。殴られかけたことは何度かあったが、未遂に終わっていたので彼女が僕を初めて殴った人間だ。まさかヤンキーではなく委員長の方が手が早いとは。僕による言葉の暴力VS委員長による拳の暴力。勝者は委員長の拳だった。
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