菊原さんは何を考えているのかよくわからない。

herpro
herpro

終章2

公開日時: 2021年1月9日(土) 20:00
文字数:470

ピンポーン


菊原と書かれた表札をちらりと見てからインターホンを押した。


「あ、風間君・・・・・・」

出てきたのは本人ではなく、お母さんだった。

「あの、晴良さんはいますか?」

「・・・・・・ちょっと待っててね」


菊原さんのお母さんがドアを開けて出てくる。

「晴良はね、東京に行ったの」

「東京に?」

「ええ。東京大学に合格したから」

東大に合格したのか。

東京に行くなら、そう教えてくれればよかったのに。

やっぱり、最後にあったときのあれのせいかな・・・・・・。

「いつ頃帰ってきますか?」

「さぁ。もしかしたら、ずっと東京にいるかもしれないわ」

「そう、ですか・・・・・・」

会いに行くなら東京に行くしかない。でも、東京か・・・・・・。

「じゃあね、風間君。幸せになってね」

「え?」

菊原さんのお母さんの言葉に少し違和感を感じ、顔を見る。

「何で、泣いているんですか?」

「・・・・・・晴良がいっちゃったから、寂しいから、かな」

そう言って家の中へと戻っていった。


少し違和感を感じながらも、僕にはそれをどうすることもできず、家に帰った。


去年は綺麗に感じた桜も、今年は灰色に見える。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート