修学旅行1日目。
特に挙げるようなことは何もなかった。
京都をブラッと回った感じ。
正確に言うと、京都周辺、だけど。
奈良や大阪も少し回った。
まあ別に悪かったとは言わないのだが、中学校の修学旅行と大差ないというか何というか。
訪れた場所に差こそあるが、なんか納得いかない。
宿泊先の宿は、当然のように雑魚寝である。
ホテルなんかではない。
まあそりゃそうだろう。
400人いるもん。
例によって女子が上、男子が下である。
これは本当に意味がわからないんだがな。
別に女子部屋に行く男子なんているわけが・・・・・・
「さて、女子部屋に行こうか」
同じクラスの男子が唐突に言った。
まさかこんな創作物の中にいそうな人がいるとは。
名前は何だっけ。
上原君だっけ?
「村田君」
「んぁ?」
・・・・・・寝ボケてる。っていうかいつのまに寝てた?
駄目だ、村田君は頼れそうにない。
「ほら、起きてる奴集まれ」
上原君(?)が部屋にいる男子を部屋の中央に集める。
ちょっと、本気でやるんだろうか。
嫌なんだが。
逃げてもいいだろうか。
寝たふりしよう、そうしよう、それが一番いい。
布団の中に人がいるように見せかけるために布団の中にバッグを入れる。
翌日。
何故か部屋の前に立たされている大勢の男子。
昨日何かあったんだろうか。
村田君が起きてくる。
っていうか村田君は僕より先に寝たのに僕より後に起きてきてるのか。睡眠時間長いな。
「風間君、あれ、何かあったの?」
部屋の前に立たされている男子一同を指さして訪ねてくる村田君。無知って嫌だな。巻き込まれるのも嫌だったけど。
「さぁ?」
とりあえず知らないふり。
上原君に聞いてみよう。
「上原君」
「・・・・・・氏原だが?」
「・・・・・・ごめん」
氏原君か。1文字違いか。ならしょうがない。
「何で皆立たされてるの?」
「いや、昨日の夜にな、皆で女子部屋行こうとしてな」
うん、そこまでは知ってる。
「女子とも話し付けといたから、上手くいくはずだったんだよ」
結構綿密に計画を立てていた(つもり)らしい。
「それで?エレベーター使ってバレたとか?」
「いや、勿論バレないように階段使っていったんだけどな」
そこまで莫迦ではなかったらしい。
「その・・・・・・」
何か言いにくそうにしている。
どうかしたんだろうか。
「見回りに、偶然見つかってな」
・・・・・・あー、それは不運。ご愁傷様。まあそもそも女子部屋に行こうとしなければよかっただけの話なんじゃないかな、とは思うけど。
「そういえば風間君も昨夜いなかったよね?」
「え?あ?あー、なんのことかな?」
まさか、バレた?
「途中で起きちゃったんだけどさ、半分くらいいないし、風間君の布団は変なふくらみかたしてたし」
バレてたかー。
まあ、僕もちょっと、上原君、じゃなかった、氏原君をどうこう言う資格はない。
実は昨日、バルコニーから上に上がって女子部屋に行った。
いや、ちょっとね、菊原さんと話そうと思ってね?
菊原さんに呼ばれてね?
少し話しただけで帰ってきたけど。
という話を村田君にする。
「はぁ・・・・・・」
村田君は僕と氏原君を見る。
「君らさぁ」
「「ん?」」
「僕らの学校、一応、県で一番良い高校なんだよ?」
そういえばそうだった。
「そんな高校の生徒が、こんな感じでいいのかな?」
「別にいいんじゃない?」
「誰かに迷惑かけたわけでもないし」
「はぁ・・・・・・。もういいや」
村田君は諦めたようだった。
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