生徒会役員選挙を目前として、文化祭・体育祭が行われる。
問題は文化祭で何をするか、だ。
「メイド喫茶」
鈴木君はいつも通りの調子。
「劇」
「お化け屋敷!」
「やっぱ屋台でしょ」
色んな意見が出ていく。
「じゃあ、まとめますね。まず、劇をするのか、屋台をするのか、教室を使ったメイド喫茶やお化け屋敷などの企画をするのか、から選びましょう」
村田君が司会進行。
劇だったら練習とか大変そうだし、そもそも出たくない。裏方がいいな。
屋台は、働く時間は大変そうだけど、働かなくていい時間が長いんだっけ。
「じゃあ、挙手してください」
屋台のところで手を挙げる。
「劇ですね」
うわぁ・・・・・・。
「何の劇にするか、意見を出して下さい」
「桃太郎」
「ロミオとジュリエット」
「人間失格」
「羅生門」
「蜘蛛の糸」
「浦島太郎」
「かぐや姫!」
「あ、竹取物語のことですか?」
「それ」
「源氏物語」
「平家物語」
「東海道中膝栗毛」
・・・・・・何か、個性的というか、何というか。
人間失格の劇とか聞いたことないし。蜘蛛の糸ってどうやって劇をするつもりなんだろう?
「他にありませんか?――では、また挙手してください」
どれがいいだろうか。
恋愛ものは嫌だな。おとぎ話も嫌だ。・・・・・・人間失格にしよう。
「はい、では、源氏物語ということになりました」
・・・・・・は?
高校の文化祭で源氏物語の劇なんてするものなのかな?
「あー、だめだ。源氏物語は長い」
先生が止めた。
まあ、確かにそれもそうだ。源氏物語を全部やってたら時間が足りるわけがない。
「あー、じゃあ、もう一度投票を」
「東海道中膝栗毛・・・・・・?あの、真面目に挙手しましたか?」
まさかの東海道中膝栗毛が最も票を集めた。
東海道中膝栗毛の内容知らないんだけど。
「できれば認知度が高いやつにしてほしいんだが」
先生がまた口を挟む。でも確かにそうでしょ。認知度が高くないと劇ってあんまりうまくいかない。玄人ならうまくいくのかもしれないけど、素人集団でやるわけだし。
「はぁ。じゃあ、もう1回挙手お願いします」
村田君、疲れているみたいだ。
結果、桃太郎。
「配役決めていきます。まず登場人物ですが、桃太郎、お爺さん、お婆さん、犬、猿、雉、鬼たち、村人たち。このくらいであってますか?」
確か、それだけだった気がする。
「では、主役から。桃太郎、誰かしたい人は?推薦でも構いません」
「はい!俺、したいです!」
木村君が挙手した。
対する皆の反応は、あまりよいものではない。
「はい」
「近藤君、どうぞ」
「風間君がいいと思います」
「は!?」
いやいやいやいや、何でそうなった?
近藤君を見ると、何やらニヤニヤと笑っている。
その後、挙手する人がいなかったため、木村君と僕を対象とした投票。僕は木村君に票をいれたのだけれど、僕の方が票が多かった。
「風間君で決定です。拍手」
パチパチパチパチ。
最悪だ。
「じゃあ・・・・・・」
その後、配役が決まっていく。
お爺さん:鈴木君
お婆さん:佐藤さん
犬:菊原さん
猿:近藤君
雉:木村君
鬼:後藤君 上妻君 山口君 松原さん 橋場さん 桜井さん
村人:佐合君 坂倉君 川越君 相良君 平坂さん 石本さん 保住さん 吉良さん
他のクラスメイトたちは裏方になるらしい。
僕も裏方になりたかったんだけど・・・・・・。
どうやらその願いは叶わないらしい。
文化祭・・・・・・不安になってきた。
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