菊原さんは何を考えているのかよくわからない。

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公開日時: 2021年1月15日(金) 23:00
文字数:1,359

生徒会役員選挙を目前として、文化祭・体育祭が行われる。


問題は文化祭で何をするか、だ。


「メイド喫茶」

鈴木君はいつも通りの調子。

「劇」

「お化け屋敷!」

「やっぱ屋台でしょ」


色んな意見が出ていく。

「じゃあ、まとめますね。まず、劇をするのか、屋台をするのか、教室を使ったメイド喫茶やお化け屋敷などの企画をするのか、から選びましょう」

村田君が司会進行。

劇だったら練習とか大変そうだし、そもそも出たくない。裏方がいいな。

屋台は、働く時間は大変そうだけど、働かなくていい時間が長いんだっけ。

「じゃあ、挙手してください」

屋台のところで手を挙げる。


「劇ですね」

うわぁ・・・・・・。

「何の劇にするか、意見を出して下さい」

「桃太郎」

「ロミオとジュリエット」

「人間失格」

「羅生門」

「蜘蛛の糸」

「浦島太郎」

「かぐや姫!」

「あ、竹取物語のことですか?」

「それ」

「源氏物語」

「平家物語」

「東海道中膝栗毛」

・・・・・・何か、個性的というか、何というか。

人間失格の劇とか聞いたことないし。蜘蛛の糸ってどうやって劇をするつもりなんだろう?

「他にありませんか?――では、また挙手してください」

どれがいいだろうか。

恋愛ものは嫌だな。おとぎ話も嫌だ。・・・・・・人間失格にしよう。


「はい、では、源氏物語ということになりました」


・・・・・・は?


高校の文化祭で源氏物語の劇なんてするものなのかな?

「あー、だめだ。源氏物語は長い」

先生が止めた。

まあ、確かにそれもそうだ。源氏物語を全部やってたら時間が足りるわけがない。

「あー、じゃあ、もう一度投票を」


「東海道中膝栗毛・・・・・・?あの、真面目に挙手しましたか?」

まさかの東海道中膝栗毛が最も票を集めた。

東海道中膝栗毛の内容知らないんだけど。

「できれば認知度が高いやつにしてほしいんだが」

先生がまた口を挟む。でも確かにそうでしょ。認知度が高くないと劇ってあんまりうまくいかない。玄人ならうまくいくのかもしれないけど、素人集団でやるわけだし。

「はぁ。じゃあ、もう1回挙手お願いします」

村田君、疲れているみたいだ。


結果、桃太郎。

「配役決めていきます。まず登場人物ですが、桃太郎、お爺さん、お婆さん、犬、猿、雉、鬼たち、村人たち。このくらいであってますか?」

確か、それだけだった気がする。

「では、主役から。桃太郎、誰かしたい人は?推薦でも構いません」

「はい!俺、したいです!」

木村君が挙手した。

対する皆の反応は、あまりよいものではない。

「はい」

「近藤君、どうぞ」

「風間君がいいと思います」

「は!?」

いやいやいやいや、何でそうなった?

近藤君を見ると、何やらニヤニヤと笑っている。


その後、挙手する人がいなかったため、木村君と僕を対象とした投票。僕は木村君に票をいれたのだけれど、僕の方が票が多かった。

「風間君で決定です。拍手」

パチパチパチパチ。

最悪だ。

「じゃあ・・・・・・」

その後、配役が決まっていく。


お爺さん:鈴木君

お婆さん:佐藤さん

犬:菊原さん

猿:近藤君

雉:木村君

鬼:後藤君 上妻君 山口君 松原さん 橋場さん 桜井さん

村人:佐合君 坂倉君 川越君 相良君 平坂さん 石本さん 保住さん 吉良さん


他のクラスメイトたちは裏方になるらしい。

僕も裏方になりたかったんだけど・・・・・・。

どうやらその願いは叶わないらしい。


文化祭・・・・・・不安になってきた。

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