菊原さんは何を考えているのかよくわからない。

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公開日時: 2021年1月26日(火) 05:00
文字数:925

「明けましておめでとう」

「あけおめー」

「ことよろ」

「よろしく」


教室が騒がしい。


数週間ぶりの登校。あいにくの雪。自転車で登校できず、朝からちょっと焦った。


「今年も頑張ろう!」

「「「おーっ!」」」

中心にいるの、村田君じゃないか。



始業式で、生徒会長の宮坂先輩のありがたい(?)お言葉を聞けた。

僕もいつかあんなことをしないといけないのかもしれない、と思うとちょっと嫌になってくる。

前に出て喋るなんて、無理そうだな。


休みあけのテストは、いつも通り僕が一位で菊原さんが二位。村田君が三位に入ってきた。


「次のテスト、俺が1位をとる!」

鈴木君が戯言を叫んでいた気がするが、多分気のせいだろう。



「蔵書点検、ですか、そうですよね、ありますよね」

放課後、図書室。

菊原さんと一緒に図書室に来たのだが、入口で新しい図書委員長の恩藤先輩に蔵書点検があることを知らせられた。

蔵書点検といえば、その期間中本が借りれないという地獄のような期間だ。

ちょっと遠いが、図書館まで行かないとな。

雪、降らなかったらいいけど。

「図書室を頻繁に利用するのは、君ら2人と図書委員くらいだからな。君らぐらいにしかわざわざ伝えるようなことはしないんだが」

「わざわざ教えてくださりありがとうございます」

「ありがとうございます」

「おう。じゃあ、ごゆっくり」

ごゆっくり、の部分に悪意を感じた。例えば、イジリとか。



1月も終わり、ついに2月。

「・・・・・・え?」


いや、予想していなかったわけではない。

予想していなかったわけではないが、それにしてもちょっと驚きが。

「豆まきしよ」

菊原さん・・・・・・。

いや、豆まきは悪いことじゃないし。

うん、やろう!


という、豆まきの話を二人で進めていたが、菊原さんのお母さんに止められた。

菊原さんの持病が最近安定していないらしい。

だから、豆まき程度の軽い運動にあたるものでさえ、やめておいたほうがいいのだと。

「菊原さん、大丈夫なの?」

「大丈夫だと思うけど・・・・・・。まあ、大丈夫だよ。死ぬようなもんじゃないし」

「死ぬことだけが問題、ってわけでもないよ?」

「んー、ま、いいんじゃない?」

なんというか、楽観的というか。

病気の本人がこの感覚だと、お母さんは大変なんだろうな。

お察しします。

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