10月に入り、生徒会の選挙があった。
僕は宮坂先輩に投票し、宮坂先輩は無事当選、生徒会長となった。
そして・・・・・・
「え?」
「会計と書記、どっちがいい?」
現在、宮坂先輩を目の前にして戸惑っている。
「えっとー、役員になる、っていうのは、確定なんですか?」
「勿論」
えー・・・・・・。
「君が選ばなかった方には菊原さんを指名しよう」
「え?」
戸惑いが多すぎる。
「つまり、僕と菊原さんの2人が会計と書記になる、と?」
「そういうこと」
「・・・・・・絶対ですか?」
「嫌?」
「はい」
「じゃあ絶対」
・・・・・・。
「菊原さんと相談してきます」
「わかった。できるだけ早く返事ちょうだい」
「わかりました」
「菊原さん」
「何?」
文化祭のときより少しテンションが下がったように見える菊原さんに、宮坂先輩から話された内容を伝える。
「え、私たちが?」
やっぱり戸惑うよね。
「私、どっちでもいいよ」
「あ、そう?じゃあ僕は書くのが遅いから会計になろうかな」
「それでいいんじゃない?」
菊原さん、何かぐったりしてる感じだな。
そんなに嫌なのかな、役員。
放課後の図書室。
「新たな生徒会役員の諸君」
「いや、やめときましょうよそういうの。図書室じゃないですか」
何故か図書室でやる気に溢れている宮坂先輩。
そして集められた僕ら。
「まずは自己紹介をしておこう。僕は必要ないね。じゃあ小田から」
「おっけー!私、小田静奈だよっ!よろしく。副会長です!」
「騒がしいが、成績優秀、運動神経もよく、この通り顔も悪くなく、体つきも悪くなく、人望もある・・・・・・と、思うから選んだが違うかもしれない」
「ふっ、宮坂は恥ずかしがりやさんだなぁ。直訳してあげよう。私は天才でオリンピックを目指せて、とても可愛くてボンキュッボンで人気とりっ!」
「いや、そこまでは言ってない」
この2人、仲が良いんだな。
「次、風間君」
「私の自己紹介に似せてね」
「・・・・・・は?」
「小田は気にしないでいいよ」
「あ、はい。えっと、風間です。成績優秀、運動神経は悪く、顔は悪く、体つきは・・・・・・ん?まあいいや。人望はないです」
「よし、良い子良い子」
「やめれ」
小田先輩に頭をなでられた。この乗り、苦手だな・・・・・・。
「顔、悪くないと思うけど」
小田先輩が言った。
「そうですか?小田先輩の目が腐っているのかもしれませんね」
「風間君の口は上手く動かないみたいだね」
小田先輩にはこれからもこういう対応でいいんだろう、きっと。
「私も、風間君格好良いと思うよ」
菊原さんのその一言で顔が熱くなる。
「あー、なるほど、そういうことか」
小田先輩が何かに納得したみたいだ。
「小田、口出し不要。おっけー?」
「おっけー」
「じゃあ次。菊原さん、自己紹介」
「菊原晴良です。成績は風間君の次くらい、運動神経は悪く、顔は悪く、体つきは・・・・・・判断基準がわかりません。人望はないです」
「晴良ちゃんって呼んでいい?」
「あ、はい」
「晴良ちゃん」
「何ですか?」
「可愛いと思うよ、もっと自信もって。体つきもいいから。私の次くらいには。もっと自信を持ちなよー。自信を持ってる子は好まれるよ?」
「僕も菊原さん、可愛いと思うよ」
仕返しをすることにした。
すると菊原さんの顔が赤くなった。
ただ、今のはタイミングが悪かった。僕の言葉で、なのか、小田先輩の言葉で、なのかがわからない。
「風間君、偉い。偉いよ。人の美点は積極的に言葉に出していこう」
「あー、はい」
テンション高いなー、小田先輩。ついていけない。
「ところで風間君。私に何か言うことはない?」
「ないです」
「美点は積極的に言葉に出していこう」
無視しよう。
「じゃあとりあえず今日は解散、ってことでいいかな。明日の朝、生徒会室に集まって。7時半くらいでいいから」
「わかりました」
「おっけー」
「わかりました」
解散。
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