菊原さんは何を考えているのかよくわからない。

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公開日時: 2021年2月12日(金) 14:00
文字数:1,480

「風間先輩、ですよね?」

悲愴について、何故かチェロをすることになり、チャロの練習をしていると、見覚えのない人に声をかけられた。

先輩、と呼ばれているし、きっと1年生なんだろう。

「えっと・・・・・・」

「あ、すみません。1年の、後藤桜です」

「・・・・・・僕に何か用?」

「あ、はい。先輩、選挙に出るんですよね?」

「え、いや、そんなことはないけど」

「え!?」

「・・・・・・え?」

そんな噂が流れているのか。

「菊原先輩が、風間先輩のことを宣伝してましたけど」

何しとんねん。

「選挙活動、ってこと?」

「はい」

まだ選挙まで1ヶ月くらいあるんだが。

「風間先輩なら、生徒会長になれますよ!」

「・・・・・・ありがとう」

「録音成功」

「は?」

「菊原先輩が、こういう会話をして録音しといて、って」

「何で?」

「この会話の録音があれば風間先輩に出馬を説得させられるから、って」

・・・・・・え、何それ。初耳なんですが。

「あ、私チェロ弾けますよ。お教えしましょうか?」

「あ、お願い。全然駄目なんだよね・・・・・・」

「毎日練習してるんですか?」

「だいたい毎日だね」

「風間先輩、生徒会室か教室か図書室にしかいないですよね」

「まあ、そうだね」

というか、それ以外に行く場所ないでしょ。

「生徒会室で楽器の練習している人初めて見ましたよ」

「そういえば後藤さんは何で生徒会室に入ってるの?」

「菊原先輩に指示されたので」

・・・・・・へー、それで入ってきたんだー。



後日。

僕はやはり菊原さんに説得され、結局選挙に出馬することになってしまった。

「ありがとう」と言ってしまったのが痛手だった。


「応援するよっ!」

宮坂先輩が言った。

「はぁ、ありがとうございます」

「頑張ってね」

小野先輩も応援してくれた。

応援してくれるのはいいけど・・・・・・。

「ダルい・・・・・・」

「まだそんなこと言ってるの?頑張ってよ」

「というか、チェロ上手くなったね」

「1年の、後藤さんに教えてもらってて」

「モテてるねー」

「いや、そういうのではないので」

菊原さんにけしかけられた後輩ですよ、恋愛感情とかあるわけないじゃないですか。


今日は、一旦悲愴をあわせてみることになっていた。

僕のチェロは、上手いといわれた。

菊原さんはピアノを弾くのだけれど、それも結構上手かった。

「吹奏楽部たちを潰そうじゃないかっ!」

と言った宮坂先輩は、その場にいた吹奏楽部部長にビンタされた。



演奏の練習をすると同時に、クラスでの猿芝居、じゃなかった、ロミオとジュリエットの演劇(?)の練習もしないといけないから大変だった。

特に主役だし。

主役だし。

最悪だし。

主役なんてやっぱり嫌だ。とても緊張するし台詞も多いしずっとでとかないといけないし。


っていうか、ロミオとジュリエットってこんな話だったのか。知らなかったな・・・・・・。

こういう話、全然読んでこなかったもんな。


「ああ、ロミオ。あなたはどうしてロミオなの?」

という転入生の声を最初にきいたときには笑った。

「何で笑ったの!?」

「いや、すみません。いつもとの差が」

「言ったわね。あんたは言ってはいけないことを言ったわ」

気にしてたらしい。

「すみませんすみません」

「今回だけは許してあげる」

許して貰えた。案外緩い。

というか、ジュリエット役はやっぱり菊原さんがよかったな・・・・・・。


菊原さんのクラスでは喫茶店をやるらしい。時間があったら優先順位は1位で行こうと思う。

メイド喫茶ではないらしい。

別にメイド喫茶がよかった、とかではないけれど。決して。そんなことはないけれど。


来月は色々な行事があるな。



文化祭・体育祭・選挙まであと1ヶ月をきっていた。

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