今年も文化祭はまた随分と豪華だ。
経費、もっと別のことに使えば良いのに。
劇に使う大道具・小道具のお金とか、本当にもっと別のことに使えば良いのにと思う。
「ダルい・・・・・・」
「大丈夫だって、ほら、頑張れっ!」
菊原さんが応援してくれるが、気持ちのダルさはなくならない。
「辛い・・・・・・」
「よっ!名主役!」
「ちょ、それ、やめて」
名主役とか、そういうの言うの本当にやめてほしい。
「ごめんごめん、ちょっとふざけただけ」
そのふざけが心に大きな傷を作るんですよ、ご存じでしたか?
「僕は船乗りじゃないけれど、たとえあなたが最果ての海の彼方の岸辺にいても、これほどの宝物、手に入れるためなら危険を冒してでも海に出ます」
「ああ、ロミオ、ロミオ。あなたはどうしてロミオなの?お父様と縁を切り、その名を捨てて。それが無理なら、せめて私を愛すると誓って」
やめてくれ転入生。いつもとのギャップで笑いそうになってしまう。正直気持ち悪い。
劇が終わった後、去年と同じような・・・・・・いや、去年より若干大きな拍手が巻き起こった。
あの、本当に、やめてくれませんかそういうの。
「疲れたー」
「お疲れ。どうだった?」
「去年と同じ」
「大盛況だった、ってことじゃん。よかったね」
菊原さんのクラスの喫茶店にやってきて菊原さんに慰めてもらっている。
「もう嫌だ。来年は絶対にしない」
「フラグ立てたね」
・・・・・・あ。
フラグ、回収しないようにしないとな。
「お客様、何がいいですか?」
「店員さん。ちょっと対応雑じゃないですか?」
「雑でもいいじゃん。ほら、メニューメニュー。お金落としていきなよ」
言い方よ。
「じゃあ、お勧めで」
「はい、お茶5杯!」
「ごめんやっぱりなしで」
「いや、冗談だから、本気にしないでよ」
あ、よかった、冗談だったんだ・・・・・・。
転入生も喫茶店に入ってきた。村田君が後をおいかけている。が、声はかけない。村田君、それじゃあストーカーだ。
「あ、風間。ちょっと一緒に見てまわりましょうよ」
「あ、ごめん、今日は菊原さんと」
「いいんじゃない?」
「じゃあオッケーで」
「意見がコロコロと変わるねー」
喫茶店の担当時間が終わるまでは転入生と時間を共に過ごした。
おかげでまであの2人は付き合っているとかいう噂まで流れ始めているところだけどな。
喫茶店の担当時間が終わったら、菊原さんと一緒に文化祭を見・・・・・・あ、いや、
「菊原さん、楽器の最終調整とかした方がいいのかな?」
「あー、そうだね」
急いで生徒会室に行って、そこで保管している楽器の最終調節を終える。
「上手くいく自身がありません。上手くいく予感しませんけど。」
つまり、たれるってことだな」
午後。
生徒会役員での演奏という、他ではなかなか見られない・・・・・・というか、ひょっとしたら前例がないかもしれない、というぐらいに珍しいであろうものがあった。
結果は大成功。
それと、何故か僕を見ている人が多かった気がする。
「風間先輩、チェロ上手かったですよ」
「後藤さんのおかげだよ、ありがとうね」
「いえいえ。いつでも頼って下さい」
「ありがと」
本当に後藤さんがいてくいれて助かった。
後藤さんがいなかったら僕は今でもチェロを弾けなかったかもしれない。
それにしても何で僕にチェロを割り当てたのだろうか。明らかな人選ミスだとおもうんだが。
文化祭も終わり、菊原さんと一緒に帰宅。
「疲れたねー」
「疲れたねぇ」
「明日は体育祭か・・・・・・」
「仮病かかろうかな」
「駄目だよ、そういうの」
菊原さんはこういうところに厳しい。
「本当に、嫌だな、体育祭。中止になってくれればいいのに」
「そんなに自身ないの?」
「いや、だって、そりゃそうでしょ」
「多分、明日面白いことになるよ」
体育祭が面白いことになるなんてない、そう思いつつ・・・・・・そして、本当に面白くないことが起った。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!