「よし、テストも終わったし、週末カラオケ行こうぜっ!」
鈴木君が言った。
「俺と佐藤と風間君と菊原さんでさ!」
「いいね、それ。鈴木が奢ってくれるのかー、やったっ!」
「え、何でそんな話になってんだよっ!?」
「あ、それ、僕も行っていいかな?」
「おう、村田も歓迎するぞ」
「むしろ、クラス皆で行かないかい?」
「よし、いいな、それ。皆で行こう!」
「風間君も来るんでしょ?」
「うん。菊原さんは?」
風間君にそう聞かれて迷う。
カラオケ。行ってみたい。けれど、大人数でいて問題ないのかな。私が突然倒れたりしたら・・・・・・。
いや、今を楽しもう。
「それじゃあ、私も行こうかな」
「よし。じゃあ他の人は僕に任せて」
カラオケで皆が次々と歌っていく。
「菊原さんも歌いなよ」
「いや、私は」
「もう、さっき風間君が言われてたの忘れたの?カラオケに来たんだよ?歌わなきゃ」
「う、うん」
私でも上手く歌える曲を歌った。少し昔のアイドルだけど、皆知っているだろう。
「菊原さんも歌上手いね。もっと自信持てばいいのに」
「う、うん。でも、今まであんまり歌ったりしなかったから。曲もあんまり知らないし」
「ふーん、そうなんだ」
その後二次会もあって、三次会もあったけれど、三次会まで行く余裕はなくて、帰ることにした。風間君も帰るらしいから、一緒に帰る。
「楽しかった?」
「・・・・・・うん。新しい友達もできたし。やっぱり、友達っていいね」
一時期は友達を、いや、知り合いを作らないと決めたはず、だったのに。
私は、楽しんで良いのかな。
残り少ない余生を。
私が死んだときに、皆を悲しませてしまっていいのかな。
「風間君は、・・・・・・ううん、何でもない」
「ん?何?言ってみて」
「・・・・・・じゃあ、相談なんだけどさ。風間君は、相談したいことがあったら、誰に相談する?」
「うーん、そうだなー。相談するっていう発想が今までにあんまりなかったから、なんとも言えないかな。何か悩んでるなら、相談乗るよ?」
「ううん、大丈夫」
一瞬、全てを打ち明けてしまおうかと思ったけれど、できなかった。私にはそれだけの度胸がなかった。
「じゃあ、またね」
「うん。また」
7月に入ると、海に行くという話が出て来た。
「菊原さんは、来る?」
「うーん、どうしようかな・・・・・・。許可が出たら行こうかな」
「親厳しいの?」
「うん、まあ、そんなところ」
許可を出すのは親じゃなくて医者、なんだけどね。
その後、先生から何とか許可はもらえた。
ただ、あまり長距離を泳いだりするのは控えたりするように言われた。
それでもいい。
楽しめれば、それで。
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