菊原さんは何を考えているのかよくわからない。

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公開日時: 2021年2月2日(火) 09:00
文字数:1,456

ゴールデンウィーク。


ゴールデンウィークといっても、こどもの日などがある数日の連休と、その前の土日を含む三連休程度の連休がある。

出かけるとするのならば、やはり前者。長い方。

三連休程度の方では、いつも通り勉強した。


菊原さんの家へ迎えに行く。

インターホンを押す。

「お待たせ」

菊原さんが一瞬で出てきた。待つ時間なんてなかったですよ。

「菊原さん、いつも通り可愛いね」

何故かそんな言葉がすらりと出てきた。

「またまたー。上手いなー。そんなこと言っても何も出ないよ?」

「本心だよ」

実際可愛い。

「風間君も格好良いよ」

「いや、それはお世辞にしてもきついんじゃないかな」

「えー?そうかなー?」


菊原さんと一緒に市街地へ。

「ねえ、プリクラ、プリクラ撮りたい、撮ったことないんだ」

「僕とでいいの?」

「うん、風間君とがいいんだよ」

僕もプリクラなんて撮ったことがないけど。


気色悪い写真ができてしまった。でも菊原さんと僕のツーショットだから残しておきたい。


「お昼ご飯何にする?」

「昼食ねえ。菊原さんは何がいい?」

「何でも良いよ。私が食べたことないもの、結構多いから」

つまり、食べたことがないものを食べたい、と。

うーん、何がいいんだろう。

流石に、うどんとかそばとかは食べたことあるだろうし・・・・・・。

何がいいのかな。

「あ、たこ焼きって食べたことある?」

「ううん。写真しか見たことない」


たこ焼き。

僕はあまりたこが好きではないけれど、菊原さんと一緒に食べると、何故か美味しく感じた。


「ねえ、どっちがいい?っていうこれ、やってみたかったんだ」

服を買うときに「どっちがいい?」って確かに色んな創作物の女性主人公がやってるし、実際に現実でやってる人も結構いるんだろうけど、それを「やってみたい」って・・・・・・。何を考えているのかよくわからないな。

「ねえ、どっちがいい?」

「どっちも似合うと思うけど、強いていえば・・・・・・こっち、かな?」

「ふぅん、ありがと」

菊原さんは自分でお金を支払った。

僕が払おうとしたけど、菊原さんの方がお金を持っているという理由で。


その後、二人での・・・・・・デート、を楽しみ、家に帰った。



ゴールデンウィークも終わり、5月の授業が本格的に始まる。

修学旅行が楽しみだけど、今はそれを考えずに授業に集中。


・・・・・・簡単だな。


暇だ。

「風間」

隣の転入生がつついてくる。

「何ですか?」

先生に聞こえないように小さな声で答える。

「あんた、授業ちゃんと聞いてないでしょ」

「あー、まあ、はい」

バレちゃったか。

「授業はちゃんと聞きなさい」


「こら、中島、喋るな」

「・・・・・・すみません」


中島さんは不服そうにしている。

まあ、なんというか、なんかごめんなさい。


授業が終わってから、また話しかけられる。

「風間は何で授業ちゃんと聞かないの?」

「まあ、聞かなくてもわかるから?予習してるし、それで十分ですね」

「嫌味ね。この高校の成績トップっていうのはこういうのなのね。東京大学にでも行くの?」

「九州大学に行こうと思ってます」

「勿体ない」

九州大学関連者一同に謝ってください。


放課後。

いつも通り図書室で本を読み、菊原さんが帰った後。

転入生がやってきた。

「あんた、いつもここにいるの?」

「ストーキング行為は犯罪ですよ」

「ストーカーじゃないわよ」

これをストーカーじゃなくしてなんというのか教えて欲しい。

「まあ、生徒会の仕事がないときは大抵ここにいますけど」

「ふぅん」

去って行った。

菊原さんの考えていることもよくわからないけれど、あの転入生のことはもっとわからないな。

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