ゴールデンウィーク。
ゴールデンウィークといっても、こどもの日などがある数日の連休と、その前の土日を含む三連休程度の連休がある。
出かけるとするのならば、やはり前者。長い方。
三連休程度の方では、いつも通り勉強した。
菊原さんの家へ迎えに行く。
インターホンを押す。
「お待たせ」
菊原さんが一瞬で出てきた。待つ時間なんてなかったですよ。
「菊原さん、いつも通り可愛いね」
何故かそんな言葉がすらりと出てきた。
「またまたー。上手いなー。そんなこと言っても何も出ないよ?」
「本心だよ」
実際可愛い。
「風間君も格好良いよ」
「いや、それはお世辞にしてもきついんじゃないかな」
「えー?そうかなー?」
菊原さんと一緒に市街地へ。
「ねえ、プリクラ、プリクラ撮りたい、撮ったことないんだ」
「僕とでいいの?」
「うん、風間君とがいいんだよ」
僕もプリクラなんて撮ったことがないけど。
気色悪い写真ができてしまった。でも菊原さんと僕のツーショットだから残しておきたい。
「お昼ご飯何にする?」
「昼食ねえ。菊原さんは何がいい?」
「何でも良いよ。私が食べたことないもの、結構多いから」
つまり、食べたことがないものを食べたい、と。
うーん、何がいいんだろう。
流石に、うどんとかそばとかは食べたことあるだろうし・・・・・・。
何がいいのかな。
「あ、たこ焼きって食べたことある?」
「ううん。写真しか見たことない」
たこ焼き。
僕はあまりたこが好きではないけれど、菊原さんと一緒に食べると、何故か美味しく感じた。
「ねえ、どっちがいい?っていうこれ、やってみたかったんだ」
服を買うときに「どっちがいい?」って確かに色んな創作物の女性主人公がやってるし、実際に現実でやってる人も結構いるんだろうけど、それを「やってみたい」って・・・・・・。何を考えているのかよくわからないな。
「ねえ、どっちがいい?」
「どっちも似合うと思うけど、強いていえば・・・・・・こっち、かな?」
「ふぅん、ありがと」
菊原さんは自分でお金を支払った。
僕が払おうとしたけど、菊原さんの方がお金を持っているという理由で。
その後、二人での・・・・・・デート、を楽しみ、家に帰った。
ゴールデンウィークも終わり、5月の授業が本格的に始まる。
修学旅行が楽しみだけど、今はそれを考えずに授業に集中。
・・・・・・簡単だな。
暇だ。
「風間」
隣の転入生がつついてくる。
「何ですか?」
先生に聞こえないように小さな声で答える。
「あんた、授業ちゃんと聞いてないでしょ」
「あー、まあ、はい」
バレちゃったか。
「授業はちゃんと聞きなさい」
「こら、中島、喋るな」
「・・・・・・すみません」
中島さんは不服そうにしている。
まあ、なんというか、なんかごめんなさい。
授業が終わってから、また話しかけられる。
「風間は何で授業ちゃんと聞かないの?」
「まあ、聞かなくてもわかるから?予習してるし、それで十分ですね」
「嫌味ね。この高校の成績トップっていうのはこういうのなのね。東京大学にでも行くの?」
「九州大学に行こうと思ってます」
「勿体ない」
九州大学関連者一同に謝ってください。
放課後。
いつも通り図書室で本を読み、菊原さんが帰った後。
転入生がやってきた。
「あんた、いつもここにいるの?」
「ストーキング行為は犯罪ですよ」
「ストーカーじゃないわよ」
これをストーカーじゃなくしてなんというのか教えて欲しい。
「まあ、生徒会の仕事がないときは大抵ここにいますけど」
「ふぅん」
去って行った。
菊原さんの考えていることもよくわからないけれど、あの転入生のことはもっとわからないな。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!