7月。
もうすぐ夏休みということもあり、皆の話題は夏休み。
「よし、皆で海に行こう!」
鈴木君が叫んでいたけど、この前のカラオケとは違ってあまり賛同の声はないみたいだ。男子は一部賛同していたけれど、女子がそれを見て引いてる。あ、そういうことね。
「風間君、海に行こう!菊原さんも!」
「えー、海・・・・・・」
正直嫌だな。
「風間君はやっぱり菊原さんが来ないとだめか」
「えっ」
「菊原さんは、来る?」
「うーん、どうしようかな・・・・・・。許可が出たら行こうかな」
「親厳しいの?」
「うん、まあ、そんなところ」
菊原さんのお母さん、そんなに厳しそうに見えなかったし、多分お父さんが厳しいんだろうな。
お父さん見たことないけど。
「ところでさ、何で女子は海に行きたがってないの?」
菊原さんが鈴木君に尋ねる。
「あー。男子が求めてるのはな、そのー、なんだ。風間君、説明してくれね?」
「無理」
「そうだよなー。えっと、その、な。佐藤!」
「ん?何?
「菊原さんが、何で女子は海に行きたがらないのか、って」
「あー、それね。別に海に行きたいわけじゃなくてさ、女子の水着姿を見るために皆で海に行こうって言ってるこういう奴が嫌なだけだよ」
「おい、痛いって、やめろ、耳引っ張るな」
「あー、そうなんだ。風間君は、そういうのに、興味あるの?」
答えに困るな・・・・・・。
「まあ、全くないわけじゃないけど」
「男子ってそういうもんだから。気にしなくていいぞ。ある、っていっちゃえよ」
「おい」
「痛いってっ!」
「そういえば風間君」
村田君が来た。
「週末、菊原さんに勉強教えてるんだって?」
「うん、まあそうだけど」
「僕にも教えてよ」
「・・・・・・。あのさ、教える必要ないよね?」
「でも、菊原さんには教えてるんでしょ?」
「あー」
村田君より菊原さんの方が成績いいもんなぁ。
「まあ、いいけど。いつ?」
「夏休み。僕は特に予定もないから、風間君の時間があるときに頼めるかな。場所は・・・・・・僕の家でもいいし、風間君の家でもいいし。何なら菊原さんの家でも」
「じゃあ僕が村田君の家に行くよ」
「ありがとう」
「私も私も!村田の家に行けばいいんだね?」
「俺も!成績上位者の集まる勉強会なんて、行かなきゃ損だろ!」
その後、近藤君や木村君も来ることになって、結構大所帯になった。
「村田君の家、大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だろ。村田ん家、金持ちだし、豪邸だし」
「え、そうなの?」
「あー、うん、まあね。父は医者で、母はそれなりに有名な投資家でね」
すごいな。
何不自由なく過ごしてきたんだろうな・・・・・・。
「よし、じゃあ、風間君が日付連絡して。それに合わせられる人だけ集まる、ってことで」
「おっけー」
「わかった」
「うん」
海に行くという話がまとまっていないまま1学期は終わり、夏休みに入った。
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