菊原さんは何を考えているのかよくわからない。

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公開日時: 2021年2月21日(日) 21:00
文字数:1,369

修学旅行での自由行動のルートが決まった。


嵐山→天龍寺→映画村→二条城→京都御所→京都大学


長い。

距離が長い。

時間もかかる。

でも全員の意見をまとめるとこうなってしまった。

っていうか、前半は中学校の修学旅行みたいなもんじゃないか。


それにしても、何で修学旅行なのに京都なんだろう。中学校と同じ、っていう人が結構いる。

他の高校だと、海外に行く高校もあるみたいだし、長野とかに行ってスキーとかする高校もあるらしい。

海外は予算的な問題もあるとしても、長野でのスキー・・・・・・いや、これは駄目だな。僕の運動神経の悪さを皆に見せつけて終わるだけだ。


菊原さんたちの班と途中で合流できればいいんだが・・・・・・。


「風間」

「何ですか?」

転入生に話しかけられた。

「今日放課後時間ある?」


・・・・・・はぁ?



放課後。


図書室に行って、菊原さんに会って、菊原さんが帰った後、中島さんにつれられて某飲食チェーン店にやってきていた。

「で、今日は何ですか?」

「交流を深めようと思ってね」

「・・・・・・はぁ?」

「あんた、学校で一番頭いいんでしょ?」

・・・・・・まあそうかもしれないが。

「理由はそれだけ。ほら、私がお金もつからじゃんじゃん食べて」

「ああ、いいよ。僕が払うから」

「いいって。ほらほらー」

何かいつもとキャラ違くないか?

「で、何で僕をわざわざ呼んだんですか?」

ポテトを食べながら聞く。

「全然信じてくれないのね・・・・・・。本当なんだけど?」

はぁ?

よくわからないな。何考えてるんだろう、この人は。僕の周りには何を考えているのかよく分からない人が多いな。

「まず敬語やめてくんない?堅苦しい」

「はぁ。わかった」



店を出た後。

「あっ」

子供が横断歩道を渡ろうとしていた。信号が赤なのに。そしてそこにトラックが突っ込んできている。

僕は全力で走り・・・・・・・間に合った。

その子を抱えて反対側まで転がって、轢かれずにすんだ。

「危ねぇだろっ!」

運転手が言った。

「すみません」

トラックはそのまま走って行く。


子供を見る。

「大丈夫?」

「お兄ちゃん誰?」

状況を理解できていないのか・・・・・・。

「はぁ、はぁ、速くない?」

中島さんがようやく来た。

「体育祭のときが嘘みたい」

そんなに速かったんだろうか。

「あ、悠太っ!ありがとうございます」

「あ、ママ」

どうやら親が来たらしい。

「本当にすみません、ありがとうございました」

親は子を引き連れて歩いて行く。


それにしても、創作物の中でしかなさそうなことがあるもんだなあ。

「風間、格好良かったよ」

「ありがとう。中島さんに褒められてもあんまり嬉しくないかな」

「はぁっ!?」

少し思った。

中島さん、面白いかも。

「どういうこと?この私に褒められて嬉しくないだなんて」

自意識過剰か。



後日、中島さんとのことを菊原さんに話した。

「へえ、そんなことがあったんだ」

「うん。僕にはよくわからないんだよね」

「鈍感なんじゃない?」

「え、鈍感?」

「うん。私はだいたいわかったけど」

「え・・・・・・?」

「中島さんは辛い人生を送りそうだね・・・・・・。風間君、ファイト」

「何を?」

「まあ、頑張って。村田君にも声かけておこうかな」

「何で今村田君の名前が出て来たの?」

「・・・・・・やっぱり鈍感かぁ」

何か呆れたような顔をされているんだが。

何か僕駄目なことしたのか?

え?

えぇ?


うーん、わからないな。

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