修学旅行での自由行動のルートが決まった。
嵐山→天龍寺→映画村→二条城→京都御所→京都大学
長い。
距離が長い。
時間もかかる。
でも全員の意見をまとめるとこうなってしまった。
っていうか、前半は中学校の修学旅行みたいなもんじゃないか。
それにしても、何で修学旅行なのに京都なんだろう。中学校と同じ、っていう人が結構いる。
他の高校だと、海外に行く高校もあるみたいだし、長野とかに行ってスキーとかする高校もあるらしい。
海外は予算的な問題もあるとしても、長野でのスキー・・・・・・いや、これは駄目だな。僕の運動神経の悪さを皆に見せつけて終わるだけだ。
菊原さんたちの班と途中で合流できればいいんだが・・・・・・。
「風間」
「何ですか?」
転入生に話しかけられた。
「今日放課後時間ある?」
・・・・・・はぁ?
放課後。
図書室に行って、菊原さんに会って、菊原さんが帰った後、中島さんにつれられて某飲食チェーン店にやってきていた。
「で、今日は何ですか?」
「交流を深めようと思ってね」
「・・・・・・はぁ?」
「あんた、学校で一番頭いいんでしょ?」
・・・・・・まあそうかもしれないが。
「理由はそれだけ。ほら、私がお金もつからじゃんじゃん食べて」
「ああ、いいよ。僕が払うから」
「いいって。ほらほらー」
何かいつもとキャラ違くないか?
「で、何で僕をわざわざ呼んだんですか?」
ポテトを食べながら聞く。
「全然信じてくれないのね・・・・・・。本当なんだけど?」
はぁ?
よくわからないな。何考えてるんだろう、この人は。僕の周りには何を考えているのかよく分からない人が多いな。
「まず敬語やめてくんない?堅苦しい」
「はぁ。わかった」
店を出た後。
「あっ」
子供が横断歩道を渡ろうとしていた。信号が赤なのに。そしてそこにトラックが突っ込んできている。
僕は全力で走り・・・・・・・間に合った。
その子を抱えて反対側まで転がって、轢かれずにすんだ。
「危ねぇだろっ!」
運転手が言った。
「すみません」
トラックはそのまま走って行く。
子供を見る。
「大丈夫?」
「お兄ちゃん誰?」
状況を理解できていないのか・・・・・・。
「はぁ、はぁ、速くない?」
中島さんがようやく来た。
「体育祭のときが嘘みたい」
そんなに速かったんだろうか。
「あ、悠太っ!ありがとうございます」
「あ、ママ」
どうやら親が来たらしい。
「本当にすみません、ありがとうございました」
親は子を引き連れて歩いて行く。
それにしても、創作物の中でしかなさそうなことがあるもんだなあ。
「風間、格好良かったよ」
「ありがとう。中島さんに褒められてもあんまり嬉しくないかな」
「はぁっ!?」
少し思った。
中島さん、面白いかも。
「どういうこと?この私に褒められて嬉しくないだなんて」
自意識過剰か。
後日、中島さんとのことを菊原さんに話した。
「へえ、そんなことがあったんだ」
「うん。僕にはよくわからないんだよね」
「鈍感なんじゃない?」
「え、鈍感?」
「うん。私はだいたいわかったけど」
「え・・・・・・?」
「中島さんは辛い人生を送りそうだね・・・・・・。風間君、ファイト」
「何を?」
「まあ、頑張って。村田君にも声かけておこうかな」
「何で今村田君の名前が出て来たの?」
「・・・・・・やっぱり鈍感かぁ」
何か呆れたような顔をされているんだが。
何か僕駄目なことしたのか?
え?
えぇ?
うーん、わからないな。
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