異世界きんたま転生

~駄女神と共にきんたまを集めて世界を救う宇宙一くだらない物語~
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第3話 五十嵐 傑のカッコよく勇ましい最期

公開日時: 2021年6月11日(金) 00:05
文字数:2,031

「ちょ、おまっ! 世界が滅ぶって……どゆこと!?」


 俺は理解が追い付かなくなり、叫びながらメイナに聞き返す。


「そのままよ。3年以内に『金珠きんたま』を集めなきゃ、両方の地球が滅ぶの」


「いやだからそれがなんで!?」


「う~ん……説明すると長くなるんだけど……ま、分かりやすく言うと、『金珠』ってのは爆破物なの」


「爆破……物……」


「えぇ。神界……あぁ。今私たちがいるこの真っ白な虚無空間を神界と呼ぶんだけど、この神界で1番偉いお方。聖女神様が酔った勢いで惑星超破壊金豪珠。略して『金珠』を4つも作ってしまって、またまた酔った勢いで人間界にそれを放り捨てちゃったのよ」


「――――――――――――」


「で、まぁ………この『金珠』ってのが、1つだけでも惑星1つを余裕で破壊しつくせる威力を持っていて………」


「そんなものを……4つもメラキアに放り捨てちゃった……と?」


「え、えぇ……まぁ……そうね。―――それであと、第1宇宙と第2宇宙は連動してるのよ。第1宇宙の地球が滅べば第2宇宙の地球も滅ぶ。第2宇宙の地球が滅べば第1宇宙の地球も滅ぶ……的な感じで」


「―――連動……してるから、第2宇宙の『金珠』を集めなきゃ、第1宇宙の……さっきまで俺が住んでた地球も滅ぶ………と」


「そういうことね」


「―――――――そしてそれの期限が」


「3年よ。聖女神様は『金珠』を作った際、その『金珠』に謎にタイマー機能も付けちゃって……それが3年後……というタイマーなのよ」


「――――――――――――――」


「――――――――――――――」


 メイナによる説明が、この何もない神界にて行われた。


 ………そうして、俺たちは1度黙りあって。


「その聖女神とやらをマジでぶん殴りたいんだが一発良いか?」


 俺は正直な気持ちを暴露した。


「いや酔った勢いでエゲつない爆破物作るってなに!? んなの酔った時の絡みがめんどくさい叔父さんでもしねぇよ!? てか『金珠』ってなんだよ!? なんでそんな名前にしたんだよ! アホか! アホだな! アホ!」


「――――――――――」


 止まることを知らない俺のシャウトをメイナは耳を塞いで少しだけ申し訳なさそうにして聞いている。


「なんだよ第1宇宙と第2宇宙って! どこのドラゴンボールだよ! てかほんとなんで『金珠』を4つも作っちゃったの!? 1つで良かったじゃん! いや1つでもダメなんだけどね!? しかも3年って! 3年って!」


「―――――――――――」


「もぉぉぉ!! なんだよこの異世界転生は! 死因不明で死んだし、訳の分からん運命背負わされるし………てかマジで! なんでその役目俺なの!?」


 俺は勢いのままメイナにそう聞くと、メイナはきょとんとした表情で。


「―――――そんなの……たまたまアンタがこのタイミングで死んだからよ?」


「―――――――――――は?」


「いや、聖女神様が酔った勢いで『金珠』作ったの……実は数時間前のことなの。……そして、『金珠』は一度人間界に落ちた時点で人間界の物。女神は人間界の歴史や文化に深く関わっちゃダメってルールがあるから、女神たちで『金珠』を集めることが出来ない。どうしよう。って神界が大慌てになってるところに……」


「―――――たまたま神タイミングで死んだ俺が転生してきた……と?」


「そゆことね! で、この『金珠』集めサポートの任は私に任されて、私とアンタでメラキアに行って『金珠』集めをしなきゃいけないんだけど……ほら、あまりにもリゼロが面白すぎて……」


「―――――『金珠』の脅威があるのに2日間俺を放置した………と?」


「そゆことね! ま、3年間の内のたった2日なんだし、別に大丈夫でしょ! ……あ、ちなみに。アンタが死んだ原因……教えてほしいかしら?」


「――――――――――――」


「アンタは、学校の下校中。急に目の前に飛んできたハエにビビって、その勢いで足を滑らせて転倒。で、転倒して頭が足元にあった穴空いてる溝にスッポリハマってしまい、アンタの頭は汚水でびしょ濡れに。……けどアンタは転倒した瞬間衝撃で意識を失ってたから、自分が溝にハマったことを知らず、顔面が謎の液体によって濡れてることに気付き、そしてそれを転倒した拍子に出た大量の血だとアンタは勘違いし、そのままショック死。……これがアンタの死い………


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉォォォォォォォォォォォォッッッッッッ!!!! それ以上言うなぁぁぁぁぁぁぁ!!! 頼むから言わないでくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


 俺は全力でメイナに土下座する。


 ――――が、メイナはそれを見て余計に面白がって。


「いやぁ~……勘違いで気絶する人間がいるってのは聞いたことあったけど……まさか勘違いで死ぬ人がいるとはねぇ~! ほんと、親御さんたちはどう思うのかしr…ブゲッボォ!」


 瞬間。俺はいつの間にかメイナの顔面を思いっきり殴っていた。


 ――――――――もう。

 ―――――この異世界転生。


「マジで嫌だ!!!!!!!!」


【つづく】

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